地震の被災地支援 行けなくてもリモート支援

写真説明:佐賀県武雄市で被災した女性(左)は、画面越しに学生団体「学生応援村」の大井晃亮代表に話を聴いてもらった(学生応援村提供)

大規模地震などの発生時、被災地の給水や炊き出し場所、営業中のスーパーなどの情報を、遠くに住む人がネット上で集め、地図サービス「グーグルマップ」に落とし込んでいく。被災者はマップを見れば、生活に必要な情報が一目瞭然――。被災地に行かずにできるリモートボランティアの一例だ。

生活情報地図 悩み傾聴 交流継続…

東京都内の会社員、塚田耀太さん(26)が、大学生だった2016年、熊本地震の際に、「遠くからでも傷付いた人を助けたい」と始めた。仲間とフェイスブック内に支援のためのグループを開設。登録したメンバー約3000人に、SNSへの投稿や被災自治体のサイトなどから情報を集めてもらい、作ったマップをツイッターで広めた。

写真説明:熊本地震の際に作られたマップ。支援を受けられる場所をマークで示した(塚田さん提供)

塚田さんはその後も、大規模災害が起こるとマップを作成。今後も作る予定で、「多くの人にグループのメンバーになって情報収集を手伝ってもらいたい」と呼びかける。

コロナで注目 ネット駆使

近年、ネットを使い、遠隔からできる災害ボランティア活動が登場。被災地に赴きにくいコロナ禍で注目を集めている。青山学院大教授(地図学、空間情報学)の古橋大地さんは、「体力に自信がなかったり仕事を休めなかったりして、現地でボランティアに参加できない人に門戸を開くものだ」と指摘する。

 

自身も10年のハイチ大地震の際、衛星画像を基に、通行可能な道路や被災者キャンプなどを示したマップを作る国際ボランティアに、日本に居ながら参加。11年の東日本大震災では、同様の取り組みを仲間と主導した。「災害時にリモートでできる活動が始まったら、ぜひ協力してほしい」と勧める。

 

被災者との対話でもオンラインの取り組みが進んでおり、参考にしたい。

 

学生団体「学生応援村」は9月、フェイスブックのビデオチャットサービスを使い、19年8月の豪雨で被災した佐賀県武雄市の住民に傾聴ボランティアを実施。学生は事前に心療内科医の指導を受けた。代表で早稲田大学院生の大井晃亮さん(25)は「コミュニティーが復活していない悩みを聴いた。地元の人より話しやすいこともあったのでは」と語る。

 

被災地を訪れたボランティアがその後、リモートでつながり続けるケースも。

 

関西学院大と武庫川女子大の学生は、19年10月の台風19号で被災した栃木県栃木市の住民とビデオ会議システムで交流を続ける。代表で関西学院大の西岡かりんさん(22)は「被災地に行くのは、交通費などの負担が大きい。SNSであれば無理なく支援できる」と歓迎する。

 

北海道大の学生団体「あるぼら」は、18年の北海道地震の被災者とフェイスブックでの交流も続けている。「時間の経過とともにボランティアが減り、心細い思いをする被災者もいる。SNSでつながることが支えになればうれしい」と、代表の立川ひかりさん(22)。

 

被災者の生活再建についてオンライン相談会を開く災害支援団体「被災地NGO恊働(きょうどう)センター」(神戸市)の代表、頼政良太さんは指摘する。「オンラインを通して関係を作っておけば、現地でのボランティアが可能になって初めて訪れる際も、被災者に安心して受け入れてもらえる。リモートボランティアの普及は、現地での活動の充実にもつながるのでは」

 

◆リモート支援3か条

▽活動に積極的に協力

▽傾聴や相談会などに活用

▽現地での活動の補完にも

 

(読売新聞 2020年10月16日掲載 「防災ニッポン 地震・被災地支援」③)

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