地震・被災地支援(4)金銭・物資の寄付 容易に (連載)

写真説明:2016年4月の熊本地震で支援物資の仕分けをする人たち(熊本市役所で)

金銭や物資による寄付も、重要な被災地支援だ。

 

2016年の熊本地震では、被災した自治体へ、ふるさと納税による寄付が急増した。総務省によると、熊本県への寄付額は15年度の1億円から、16年度は7億9000万円に増加。県内45市町村の合計額も7倍になった。返礼品なしでも短期間で集まったといい、県の担当者は「迅速に役立てることができた。気持ちがありがたい」と話す。

税軽減も後押し IT環境を活用

被災自治体の負担軽減のため、他の自治体が受け付け事務を肩代わりする「代理寄付」も増えている。被災直後は代理自治体を介した寄付も検討したい。仲介サイト大手「ふるさとチョイス」が熊本地震を機に始めた仕組みで、19年10月の台風19号や20年7月の豪雨などでも行われた。

 

ふるさと納税は条件を満たせば、寄付者の所得税や住民税の負担が軽くなる。確定申告が必要な場合は、忘れないよう注意したい。

 

金銭の寄付はほかに、被災者に届けられる「義援金」と、被災地入りするボランティア団体などの活動資金となる「支援金」などがある。

 

義援金は、日本赤十字社などが受け付け、被災自治体などでつくる義援金配分委員会が決めた配分割合で被災者に届けられる。国税庁によると、原則として自治体に寄付する形となるため、ふるさと納税に該当。同様に税の負担が軽くなる。

 

支援金は、日本財団などが受け付けている。インターネットで資金を募るクラウドファンディングを活用した寄付もあり、仲介サイトを使える。こうした寄付も条件を満たせば、税の控除の対象となる。

◆主な寄付金の種類(①寄付先②受付先③特徴)

●ふるさと納税

①被災自治体

②仲介サイト「ふるさとチョイス」「さとふる」など

③被災自治体の事務負担を軽減する「代理寄付」も

●義援金

①被災者

②日本赤十字社や中央共同募金会など

③義援金配分委員会が決めた割合で被災者へ配分

●支援金

①支援団体

②日本財団など

③被災地入りするボランティア団体などの活動資金となる

●クラウドファンディング

①企業など

② 仲介サイト「レディーフォー」「キャンプファイヤー」など

③事業再開など使途を示してインターネットで資金を募る

●BOSAIPOINT

① BOSAI  POINT  PROJECT

③ 使っていないクレジットカードなどのポイントを寄付。運営事務局が非常食などを購入し、災害時に被災地に送る

 

物資を寄付する際は、被災地のニーズを見極めることが重要だ。

 

熊本地震では、仕分けされないままの支援物資が被災自治体に多く届き、職員に負担を強いることになった。事態を受け、国の中央防災会議は、「個人は物資を控え、義援金などの金銭による支援を原則とする必要がある」とする報告書を公表した。

 

被災地支援に取り組むNPO法人「レスキューストックヤード」(名古屋市)の代表理事、栗田暢之(のぶゆき)さんは「被災後、時期によっても必要な物は変わってくる。現地の支援団体などに問い合わせ、求められている物資を確認してほしい」と助言する。

 

ネット通販大手「アマゾン」の「ほしい物リスト」を使って、被災自治体が物資を募るケースも増えている。サイト内で自治体が必要な物を指定し、支援者が購入して贈る。19年の台風19号で被害を受けた長野市は、被災者から要望を聞き取り、リストに加えて物資を集めた。

 

寄付文化の定着に取り組むNPO法人「日本ファンドレイジング協会」(東京)のマネージング・ディレクターの宮下真美さんは、「オンライン化の進展で寄付しやすい環境が整ってきた。災害の発生後だけでなく、日頃から、防災に取り組む団体などへの寄付に目を向けていく必要がある」とする。

 

日常的に他者に寄り添う文化を深めていく。それが、いざという時の被災地支援にもつながる。

 

◆寄付3か条

▽ふるさと納税は代理寄付も

▽物資はニーズを見極め

▽災害時だけでなく日頃から

 

(読売新聞 2020年10月17日掲載 「地震・被災地支援」おわり 生活部・崎長敬志、福島憲佑、梶彩夏、生活教育部・児玉圭太が担当しました)

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