緊急地震速報 わかったうえでこう活用!

説明:速報の的中率(2020年3月末時点)

2007年に提供が始まった緊急地震速報は防災に必要な情報として社会に定着してきた。ただ、首都圏を対象に出した速報が誤報となる騒ぎもあり、いっそうの精度向上も求められる。仕組みや技術的な限界を知り、身を守るためにうまく使いこなしたい。

長くて数十秒 その間に揺れに備え

地震が起きると、P波という速い地震波が先に来てカタカタと小さく揺れた後に、遅いS波が到達してドーンと大きく揺れる。

 

震源に近い地震計がとらえたP波のデータを瞬時に解析し、S波による揺れがどれくらいになりそうかを予測した上で、最大震度が5弱以上と判定された場合に、震度4以上が予想される地域に情報を出して防災行動を促すのが緊急地震速報の仕組みだ。

 

誤差を考慮して、テレビやスマートフォンで流される速報では具体的な予測震度は公表されず、「強い揺れに備えてください」などと伝えられる。

説明:気象庁の資料を基に作成

速報が出てから強く揺れるまでの時間は、長くても数十秒しかなく、取れる行動は限られている。家にいる時なら、丈夫な机の下などに隠れる。街中なら、倒れる恐れのあるブロック塀や自動販売機から離れるようにする。

 

気象庁は「周りの人にも声をかけながら、慌てずに身を守るのが基本で、いざという時の行動を日頃から考えておいてほしい」と呼びかけている。

説明:気象庁の資料を基に作成

◆速報が出た時、どんな行動をしたか(複数回答)

※気象庁が2018年に全国の2000人を対象に実施した調査による

緊急地震速報には限界も

緊急地震速報には限界があることも知っておきたい。18年の大阪北部地震のような内陸直下地震では、強く揺れる地域が震源に近いため、速報の発表が間に合わないことが多い。

 

◆速報の限界

・震源に近い場所では、速報より先に強い揺れが来る

・少ない観測データから速報するため、予想には誤差を伴う

 

速報の効果が期待できるのは、沖合に震源があり、陸地へ地震波が到達するまでに、ある程度の時間がかかる海溝型地震だ。11年の東日本大震災では、震度7が観測された宮城県栗原市では速報が出てから強く揺れるまでに15秒、震度6強だった茨城県高萩市では32秒あった。同じ海溝型地震である南海トラフ地震でも数十秒の猶予時間がある地域が多いとみられ、有効に生かせるよう備えておくことが欠かせない。

速さ優先 誤差避けられず

20年7月30日朝、首都圏に緊急地震速報が出され緊張が走った。しかし、実際には強い揺れは観測されず、気象庁は「誤報だった」と陳謝した。

 

はるか南の沖合が震源だったのに解析システムが房総半島沖と推定したのが原因で、気象庁は自動処理の手法に改善を加えた。

 

迅速さが優先される緊急地震速報は少ない観測データから予測するので誤差が避けられない。速報が出た時、実際に震度4以上の揺れが観測される割合は7割程度だ。空振りでも「大きな地震がなくてよかった」くらいに考え、速報を軽視せずに訓練などで備えておきたい。

 

気象庁は定期的に訓練用の速報を配信している。地域によっては防災行政無線で流される。テレビ放送や携帯電話のメールでは流れないが、スマートフォンに「地震防災訓練アプリ」を入れておけば訓練速報が流れ、身を守る行動の体験に活用できる。

 

(読売新聞 2020年10月25日掲載 編集委員・川西勝)

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