緊急地震速報 わかったうえでこう活用!

◆速報の限界

・震源に近い場所では、速報より先に強い揺れが来る

・少ない観測データから速報するため、予想には誤差を伴う

 

速報の効果が期待できるのは、沖合に震源があり、陸地へ地震波が到達するまでに、ある程度の時間がかかる海溝型地震だ。11年の東日本大震災では、震度7が観測された宮城県栗原市では速報が出てから強く揺れるまでに15秒、震度6強だった茨城県高萩市では32秒あった。同じ海溝型地震である南海トラフ地震でも数十秒の猶予時間がある地域が多いとみられ、有効に生かせるよう備えておくことが欠かせない。

速さ優先 誤差避けられず

20年7月30日朝、首都圏に緊急地震速報が出され緊張が走った。しかし、実際には強い揺れは観測されず、気象庁は「誤報だった」と陳謝した。

 

はるか南の沖合が震源だったのに解析システムが房総半島沖と推定したのが原因で、気象庁は自動処理の手法に改善を加えた。

 

迅速さが優先される緊急地震速報は少ない観測データから予測するので誤差が避けられない。速報が出た時、実際に震度4以上の揺れが観測される割合は7割程度だ。空振りでも「大きな地震がなくてよかった」くらいに考え、速報を軽視せずに訓練などで備えておきたい。

 

気象庁は定期的に訓練用の速報を配信している。地域によっては防災行政無線で流される。テレビ放送や携帯電話のメールでは流れないが、スマートフォンに「地震防災訓練アプリ」を入れておけば訓練速報が流れ、身を守る行動の体験に活用できる。

 

(読売新聞 2020年10月25日掲載 「減災」 編集委員・川西勝)

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