写真説明:全国宅地建物取引業協会連合会が作成した初めて一人暮らしをする人向けのガイドブック
ストーカー被害や災害時の孤立…
福岡県宅地建物取引業協会の女性特別委員会は3年前から、県内の高校で、将来に向けた部屋探しのコツを教える講演を行っている。そこで強調しているのは、一人暮らしにありがちなトラブルや犯罪を避ける方法。井上恵美香委員長は「物件の選び方や、日頃の心がけが大切」と説明する。
写真説明:一人暮らしの大きな不安が、突然の病気や災害だ。部屋を探す段階でもしもの時に備えて、しっかり準備をしておきたい。
例えば物件を探す際、性犯罪やストーカー被害などから身を守るには、1階の部屋や、外部から玄関が見える部屋は避けたほうがよい。入居後も、
▽カーテンは女性とわかる色柄にしない
▽ゴミ捨てなど短時間の外出でも必ず施錠
▽不審なことや不安は管理会社や不動産会社に相談
――などを心がける。
情報が入る工夫や防災袋
一人暮らしの学生や社会人の多くは地域とのつながりが薄く、災害が起きた時に必要な情報が入らない恐れがある。自治体が作成している広報誌や防災マップを入手し、近くの避難場所を把握しておこう。1週間分の飲食物や必需品、現金などを詰めた「防災袋」を用意。スマートフォンをアドレス帳代わりにする人も多いが、故障したり、急病などで本人が倒れたりする事態も想定して、緊急連絡先を記した書類を用意しておく。
全国宅地建物取引業協会連合会は、一人暮らしの人に向けたガイドブックを1冊50円で販売している。井上さんは「一人暮らしで最も避けるべきことは孤立です。緊急時に周囲の人とすぐつながりを持てる手段を考えてほしい」と呼びかける。
■トラブル回避の工夫例
(井上さんの話を基に作成)
防犯
▽カーテンは室内が見えないよう厚手の遮光タイプを選び、女性らしい色や柄は避ける
▽エレベーターには1人で乗る。途中で人が乗ってきたら次の階で降りる
▽部屋に入る際は背後に誰もいないことを確認する
▽チャイムが鳴ってもすぐドアを開けず、インターホンやチェーンをかけた状態で訪問者や用件を確認。不審、不要な訪問は毅然(きぜん)と断る
防災
▽新しく住む自治体の最新の広報誌や防災マップを入手し、避難場所や避難経路を確認する
▽防災袋を用意する
▽緊急連絡先は紙にも書き留めておく
▽集合住宅では玄関前に物を置かない。住民の避難時の妨げになる
(読売新聞 2020年11月22日掲載 「一人暮らしの危機管理」おわり 社会部地域・生活課・島田愛美が担当しました)
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