コロナ・家族に感染が疑われたとき自宅でどう過ごす?

感染症の大流行は災害と同様、人々の暮らしや社会に甚大な影響を与える。その現実を新型コロナウイルス感染症は突き付けた。警戒を怠れば、ウイルスや細菌は家庭内にも入り込む。不安な心の隙を突かれ、デマの拡散や差別に加担してしまう恐れもある。新型コロナを例に、架空のシナリオで改めて考えたい。

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シナリオ1 家族にうつさない …結果待ち

「受けてきた」。帰宅した太郎(40)は厳しい表情で、妻の花子(39)に告げると、マスクを着けたまま、すぐに洗面所で手を洗った。発熱し、医療機関から新型コロナウイルスのPCR検査を促されたのだった。

太郎の自宅待機で花子の不安は増していた。「あなたが感染していたら、私や子ども2人にもうつってしまう」。受験を控えた長男のことが特に心配だった。

太郎は外では3密を避け、マスクの着用や手洗いを励行してきた。「感染しているとは思えないが、万が一を考え、家の中でも予防対策をしよう」。検査結果を待つ間、家族全員が家でマスクをし、距離を取る。

だが、自分がもし感染していたら、家族にもすでにうつっている可能性が高い――。悪夢がよぎった。

シナリオ2 デマに惑わされる …SNS

2日後、検査結果がわかった。陰性。熱もすでに下がっている。ひとまず安心したが、ドアノブを消毒するなど、家でも普段から対策を強化することにした。

「消毒液が品薄になるみたいよ」。花子がスマホの画面を見せてきた。SNSで流れてきた情報では、感染の再拡大で医療機関などでの需要が増え、市販されなくなるという。

「そんなのデマに決まっているよ」。太郎は、トイレットペーパーについて、同じような情報が拡散されたことを思い出していた。

「でも念のため、たくさん買っておいた方がいいんじゃない。受験シーズンになかったら困る」と花子。みんながそうやって買い占めるから社会が混乱するんだ、と思いながらも、太郎は強く反対しなかった。

シナリオ3 気づかぬうち差別 …マンションで

「大変なことになっているなあ」。近くの病院で発生したクラスターについて連日報じるテレビ番組を見ながら、太郎はつぶやいた。

マンションの同じ階に住む女性も、この病院に看護師として勤めている。「子どもを預けている保育園に、登園を自粛してほしいと言われたんだって」と花子。「えっ、まだそんな差別的な対応があるの」

翌日、太郎はエレベーター前で看護師の女性と出くわす。一緒に乗ろうとし、ちゅうちょした。PCR検査を受けた時の不安がよみがえったのだ。忘れ物をしたふりをし、家に戻る。

「あれ、どうしたの」。花子に問われ、いきさつを説明した。「不安はわかるけど、それが差別につながるんじゃない」。花子の言葉に太郎はぎくっとした。

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