津波要警戒!南海トラフ地震は激震が時間差で襲うかも…

国内で発生が予想される巨大地震の中でも、とりわけ深刻なのが「南海トラフ地震」だ。想定震源域は東海から九州に及び、犠牲者数は最大30万人超と推計される。2回の巨大地震が東西を時間差で襲う恐れもあるため、一人ひとりの避難行動が命を守るカギになる。実際に起きうるシナリオで心構えを考えたい。

シナリオ1  大津波警報 逃げろ…自宅

ある冬の日の未明。静岡県の自宅で眠っていた太郎(35)は、突然の音で目が覚めた。スマートフォンの緊急地震速報だ。慌てて妻の花子(37)、小学生の一郎(10)と一緒に頭から布団をかぶった。しばらくしてゆらゆら揺れ始めたが、花瓶が倒れる程度で収まった。

「大したことなさそうだな」。花子と話しながら、テレビをつけて驚いた。震源は、震度4だった自宅周辺ではなく、遠い四国沖。震度7や6強の地域が西日本各地に広がり、静岡県を含む広い範囲に大津波警報が出された。「東日本大震災を思い出してください。命を守るため今すぐ逃げてください」。アナウンサーが強い口調で繰り返した。

2階建ての自宅は海沿いだ。「急ごう」。徒歩5分の津波避難タワーに向かった。震度3~4の余震が続く中、地上10メートルの屋上で、寒さに耐えながら眠れぬ夜を過ごした。

シナリオ2  巨大地震 続く恐れ…避難所

自宅周辺に大きな津波は来なかった。ほっとする間もなく、気象庁は夜明け頃、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」を発表した。四国沖に続き、東海沖でも大地震の恐れがあるという。津波からの避難が間に合わない住民には、避難所などで1週間過ごす「事前避難」が求められた。

大津波警報が注意報に切り替わった後、高台の避難所に向かった。「また地震が来るの?」「帰れないの?」。一郎は不安そうだ。

避難所生活が始まった。間もなく勤務先のメーカーから「部品の調達が厳しい。可能なら出社を」と連絡が入り、太郎は避難所から通勤することになった。

高台の住民は自宅で過ごしている。海沿いでも電気やガスは普段通り使えるため、避難所を出て行くご近所さんもいた。「着替えを取りに行こうか」。花子に話しかけようとしたが、思い直した。油断は禁物だ。

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS