コロナ下で増加!災害時の車中泊避難のポイント

写真説明=2020年7月の九州豪雨では多くの住民が車中泊避難を選んだ(熊本県内で)

感染防止で選択する人が増える

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、災害が発生した場合の避難先として、避難所ではなくマイカーを選択する人が増えると見込まれる。車中泊避難はエコノミークラス症候群などのリスクもあるため、国は推奨していないが、対策を取り始めた自治体もある。

国は推奨していない

国は指定避難所への避難を原則としているが、新型コロナ対策として、ホテルなども活用してなるべく多くの避難先を確保し、親戚や知人宅への避難も促すなどの「分散避難」を呼びかけている。車中泊避難については「増えることが想定される」とするものの、手段として例示してはいない。

熊本地震では死者の8割が「災害関連死」

2016年4月の熊本地震では、死者273人のうち、避難生活の負担が原因で死亡した「災害関連死」が約8割を占めた。特に、エコノミー症候群で病院に搬送される避難者が相次ぎ、入院が必要となった重症者54人中、43人が車中泊だった。

熊本県の調査に回答した避難者の約7割が「余震が続き、車が一番安全だと思った」「プライバシーの問題がある」「子ども、体の不自由な家族、ペットがいる」などの理由から、避難所には入らず、車中泊避難を選んでいた。

しかし、新型コロナの影響で、自治体の車中泊避難に対する考え方は変化してきた。

避難所外避難の状況把握へ

2020年7月の九州豪雨では、新型コロナの感染拡大への懸念から、多くの住民が避難所を避けたとみられる。熊本県によると、災害発生から約3週間が経過した7月23日時点で、避難所で生活していたのが1519人だったのに対し、車中泊避難や被災した家屋での避難をしていると避難所に申告があったのは1580人に上ったという。

豪雨に先立つ2020年5月、同県は避難所における新型コロナへの対応指針をまとめていた。市町村に対し、公共施設や大型商業施設の管理者と協議のうえ、あらかじめ車中泊等の避難場所として準備し、住民に周知することが明記された。

さらに、避難所外避難者の状況を把握し、物資の配布や感染防止対策などを行うことも定められた。県によると、豪雨の際には、エコノミー症候群対策として静脈の血流を促進する「弾性ストッキング」の配布や保健師の巡回も行い、エコノミー症候群を発症した人はいなかったという。

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