コロナ禍の防災「密」回避で在宅・車中泊を選んだら…

在宅避難なら非常食や衛生用品を備える

福岡市中央区の「天神ロフト」は、2011年3月の東日本大震災や16年4月の熊本地震が発生した時期に合わせて、毎年防災グッズの特設コーナーを設けている。広報担当の山口真央さんは「コロナ禍の今年は、在宅避難に備える非常食などがよく売れています」と説明する。

気分転換用のスイーツも

非常食は種類が豊富になっており、大手飲食チェーンの「さばカレー缶」や「牛丼缶」など味にこだわったメニューがそろっている。気分転換になるお菓子もあり、長期保存できるチーズケーキやガトーショコラなどが入った「どこでもスイーツ缶」(税抜き500円=写真)が人気という。

自宅避難中の断水に備える衛生用品も多彩だ。

「もしもの時のさわやかトイレ」(10回分入り、税抜き1700円)は、水が流せなくなった洋式の便器に袋をかぶせて使用する非常用トイレ。凝固剤で排せつ物を固めて臭いを防ぐ。

「背中も拭ける大判ウェットタオル」(30包、税抜き1280円)や「水のいらない泡なしシャンプー ウェット手袋」(2枚、税抜き278円)は、入浴ができない時に体を清潔に保つ。「SKK歯みがきシート」(10枚、税抜き550円)は、歯や口の中を拭くだけで歯が磨ける指サック型のウェットシートで、5年保存が可能だ。

写真説明:衛生用品の「水のいらない泡なしシャンプー ウェット手袋」(右)と「SKK歯みがきシート」

このほか、消毒液やマスクなどの感染対策グッズを多めに買って備蓄する人も多い。「折りたたみパーティション」(税抜き1200円=写真)は、食事などを飛沫(ひまつ)から防ぐ仕切り。小さく折りたためるので避難所に持参でき、日常の仕事用などにも使える。

熊本市が2016年8月に公表した熊本地震についてのアンケート調査では、地震後に日常生活で非常に困ったこと(3つまで回答)で最も多かったのは「断水」(82.3%)で、次いで多かったのが「水や食料などの物資不足」(48%)だった。山口さんは「災害時に困らないよう、日頃からの備蓄を心がけてほしい」と話す。

(読売新聞 2021年2月28日、3月7、14日掲載 連載「コロナ禍の防災」 社会部地域・生活課・香月大輝)

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