登山家注目!登山前に噴火のリスクをチェックしよう

写真説明:御嶽山の山頂付近に設置された避難シェルター(2018年9月26日)=橘薫撮影

登る山が火山かどうか 事前チェックと避難経路

長野、岐阜県境の御嶽山で2014年9月に起きた噴火は、記憶に新しい。死者・行方不明者63人を出し、登山中の火山防災の難しさを浮き彫りにした。

「自分が登る山を活火山と知らない人も多い。まずは把握することから」。日本山岳・スポーツクライミング協会専務理事の尾形好雄さんは助言する。活火山であれば、気象庁のサイト内「火山登山者向けの情報提供ページ」で、噴火警報や、48の火山で運用されている噴火警戒レベルの発表状況などをチェックする。

防災アプリも入れておこう

入山可能な場合も、万一のため、地元自治体などが作成した火山防災マップや火山ハザードマップで、被害の予想範囲や、山小屋、シェルターといった避難場所を調べ、噴火時の避難経路を想定。「Yahoo!防災速報」などの防災アプリで、気象庁の噴火速報を受け取れるよう準備しておきたい。登山道での利用可能エリアは、携帯電話会社のサイトで分かる場合もある。

地元警察本部などへの登山計画書(登山届)の提出は、救助をスムーズに進める上で大切だ。御嶽山の噴火を踏まえ、地元の活火山について、条例で提出を義務づけた自治体もある。郵送やファクスのほか、オンラインで提出できる場合も。尾形さんは「家族や知人らにも行き先や行程を知らせておいて」と勧める。

装備にヘルメット、ヘッドライトなど

装備にも留意したい。産業技術総合研究所火山活動研究グループ主任研究員の及川輝樹さんは、「ヘルメットはあった方がいい」と指摘する。飛んでくる噴石の速度は時速数百km。「直撃のダメージを軽減するのは難しいが、小さいものがかすめる場合の防護になる」。火口周辺の地面は滑りやすく、急いで避難して転倒した場合なども、頭部の保護につながる。

通常の装備も防災に活用できる。ヘッドライトは、火山灰で視界が遮られた際に役立つ。マスクは、火山灰が口や鼻から入らないようにするのに有効だという。タオルを水でぬらして口を覆えば、マスク代わりになる。リュックサックも盾のように構えれば、噴石などから頭などを守るのに使える。登山地図も避難経路を確認するのに必要だ。

「身軽に動けるよう、必要最小限にすることも大切」と及川さんは話す。

◆火山への登山で役立つもの(内閣府・気象庁の資料を基に作成)

前触れなく噴火する可能性も 登山中は常に注意を

登山中も、活火山であることは常に意識する必要がある。名古屋大地震火山研究センター特任准教授の国友孝洋さんは、「御嶽山の噴火は、最も低い噴火警戒レベル1で発生した。活火山は前触れなく噴火する可能性があることを肝に銘じてほしい」と訴える。

もし噴火したら、火口から離れる方へ向かい、噴石から身を守るために近くの山小屋やシェルター、大きな岩陰などに隠れる。噴火が一定程度収まったら、早く下山する。

「火山活動で出来た美しい自然や非日常的な風景が広がり、地球が生きていることを実感できる場所。リスクに十分備えた上で、すばらしさを体感してほしい」と、国友さんは呼びかける。日常を離れ、心を解放させようとする時も、すぐそばに災害の危機があることは忘れずにいたい。

◆登山の備え3か条
▽事前に避難場所など確認
▽登山計画書を提出
▽ヘルメットなどの装備も

(読売新聞 2021年3月19日掲載 連載「防災ニッポン 火山噴火」おわり 生活部・大郷秀爾、福島憲佑が担当しました)

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