噴火への備え 降灰中はできるだけ屋内にとどまる

コンタクトは眼鏡に

火山灰は、噴火によって岩石やマグマが砕かれて出来る砂粒のようなもので、2mmよりも細かいものを指す。角がとがっているのが特徴だ。

「短時間吸い込むぐらいでは健康被害はないが、降灰中はできるだけ屋内にいた方がいい」。山梨県富士山科学研究所の主幹研究員、石峯康浩さんは助言する。

コンタクトレンズを使っている人は眼鏡に替えたい。レンズと眼球の間に火山灰が入り込むと、角膜が傷付く恐れがあるからだ。目に入ったら、こすらずに水で流す。

屋内に入らないよう、玄関や窓の開閉は回数を減らす。帰宅時は上着を玄関前で脱ぎ、はたく。

車はスリップの危険がある

車の使用はなるべく控えたい。走行で火山灰が舞い上がる上、スリップの危険があるからだ。やむを得ず運転する際は速度を落とし、ヘッドライトを点灯する。フロントガラスはウォッシャー液をたっぷり使って洗い流す。

「活火山の周辺には観光地も多い。訪れる人も火山防災の知識を持っておいた方が安心」と石峯さん。

意外に重い火山灰、除去は慎重に

庭や家の周囲に火山灰が積もれば、除去作業が必要になる。マスクやゴーグルを着け、舞い上がらないよう、水を少しかけてから除去する。産業技術総合研究所大規模噴火研究グループ主任研究員の宮城磯治さんは「排水溝に流したり、雨どいにたまったままにしておいたりすると詰まってしまう恐れがある」と指摘する。

火山灰は想像以上に重い。宮城さんによると、乾燥した火山灰が100㎡に1㎝積もるだけで1~2tになるという。屋根や雨どいからの除去が必要だが、「危険を伴う。業者などに頼んだ方がいい」と助言する。

屋内では掃除機で吸い取る。モップや雑巾でこすると、火山灰が付着して床などを傷付ける可能性があるという。

宮城さんは、「噴火はめったに発生しないが、起きた時をイメージして備えておくことが減災への第一歩」と指摘する。

◆降灰への対応3か条
▽できるだけ屋内に
▽窓などの開閉は最小限に
▽除去時はマスクなど着用

(読売新聞 2021年3月18日掲載 連載「防災ニッポン 火山噴火」上)

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