災害時ご近所つながり「支え合いマップ」で孤立防止

埼玉・行田の自治会マップ作りリポート

「最近、ご近所付き合いがないみたい」「『老老介護』で大変なようね」

2021年1月下旬、埼玉県行田市の菊野台自治会(約140世帯)の60~70歳代の住民4人が集会所で住宅地図を囲み、マップ作りに取り組んでいた。

4人は地域の高齢者の交流の場となっている住民サロンの世話人。他の地域の取り組みを知り、「私たちの地域でも高齢化が進み、見守りが課題。まずは状況を把握した方がいいと話し合った」と元民生委員の池田脩さん(73)は経緯を説明する。

生活状況把握から印をつけて線を引く

マップ作りの基本は、高齢者のみの世帯など支援が必要な住民と、その人と交流がある人を、地図上にペンで印を付けて線で結んでいく作業だ。支え合いやつながりを可視化していくことで、周囲と交流がない人も浮かび上がる。かと思えば、孤立を心配した人に、思わぬ結びつきがあるとわかることもある。

「近所でほかに気になる人はいない?」「誰がふだん世話を焼いているの?」。約2時間の情報交換で、近所付き合いを避けるようになった高齢女性や、病気の妻の介護中の男性、1年前に引っ越してきた単身の外国人男性などが話題に上った。一方で、そうした人たちの家に立ち寄って近況に耳を傾けたり、困りごとの相談に乗ったりしている住民の存在も見えてきた。

日々の交流で変化を更新しやすい

マップ上に記入する内容は、それぞれが地域で生活する中で把握しているものだ。いわば、住民たちのネットワーク上の情報で、市など公的機関から提供されたものではない。不完全な点もあるかもしれないが、日々の交流で、状況の変化を更新しやすい面もある。

作成メンバーの一人、島田悦子さん(69)は「震災や大雨災害は、いつ起こるか分からない。ご近所の人同士のつながりを確認し、いざという時に助け合える態勢を整えたい」と力を込める。

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