災害時ご近所つながり「支え合いマップ」で孤立防止

木原さんに聞く支え合いマップ作りのポイント

「支え合いマップ」作りを提唱し、全国を回り普及活動に取り組んできた住民流福祉総合研究所(埼玉県毛呂山町)の木原孝久所長(80)にポイントを聞いた。

写真説明:「支え合いマップ」の作り方のコツを説明する木原さん(中央)(埼玉県行田市で)

ご近所情報を地図に記入し災害時に命綱に

マップ作りでは、誰と誰に日頃の行き来があるかなど、住民の「ご近所情報」の記憶をたぐっていき、住宅地図に記入していく。例えば、食事のおすそ分けをしていたり、病院への送り迎えをしていたり。そうした住民同士の日常の「見守り」のネットワークは、平時はもちろん、災害時にも強力な命綱になるはずだ。

雨戸を閉め切り、付き合いがなさそうな人も、つながりがある人の1人や2人は見つかることが多い。田舎でも都会でも、「世話焼きさん」がいることもわかる。そうした人と人とのつながりを線で結んで把握しておけば、避難誘導や声かけなど、いざという時の支え合いに生きてくる。

つながっていない人も可視化される

誰とつながっているか分からない人が見つかることもメリットだ。高齢などで支援が必要な人なら、行政に相談して災害時の対応を考えておくこともできる。

マップ作りでは、家族構成や持病の有無、介護サービスの利用状況といった個人情報も関係してくる。ただ、あくまで扱うのはご近所さん同士の、助け合いに必要な情報。これまで約700地域でマップが作られたが、その地域で一番の「世話焼きさん」や民生委員、町内会長といった人の中から、保管役を決めてもらっている。

ご近所で自然とできあがっている信頼関係、当たり前のこととして営まれる人間関係をいざという時のために情報共有し、生かさない手はないと思っている。

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