軽くてコンパクト! アウトドア用品を災害時の備えに

アウトドア人気が高まるなか、登山やキャンプ用品を防災用に活用する人が増えている。軽くてコンパクトに作られている道具が多く、災害時でも取り回しが良いためだ。専門店は防災コーナーを設置し、避難生活の体験教室も広がっている。

小売店は防災コーナーを通年設置

登山やスキー用品を中心に販売する「石井スポーツ・リンクス梅田店」(大阪市北区)の一角には、防災コーナーが設けられている。

アウトドアブランド「ザ・ノース・フェイス」の救急バッグや「ロゴス」の照明器具のほか、登山用の非常食やガスバーナー、ポータブル電源など約30ブランドの商品が並ぶ。コーナーは2020年、半年間にわたり開設した。顧客の反応が良かったことから、2021年は通年で陳列する予定だ。

写真説明:アウトドア用品店に設けられた防災コーナー(大阪市北区の石井スポーツ・リンクス梅田店で)

趣味の道具が万一に役立つ

買い物に来ていた兵庫県西宮市の会社員男性は、登山が趣味で普段からアウトドア用品をザックに詰めて災害時に備えている。「ヘッドライトは両手が自由になるし、手袋は防寒に役立つ。軽くて持ち運びもしやすく、機能性も高い」と話す。

◆災害時のアウトドア用品の活用例

津波被害をきっかけに作られたクッションは…

メーカーでは、防災向けの商品開発にも取り組む。アウトドア用品大手のモンベル(大阪市)は1995年の阪神大震災以降、被災地にテントや寝袋を供与したり、貸し出したりしてきた。2011年の東日本大震災の津波被害をきっかけに、考案したのが「浮くっしょん」(税込み5238円)だ。普段はクッションとして使い、簡単な操作でライフジャケットに変わる。

保存期間が5年以上ある非常食「リゾッタ」(税込み421円から)も開発した。担当者は「防災関連の商品は従来、震災が起きた1月や3月、9月1日の『防災の日』を中心に売れていたが、最近は時期を問わず売れるようになった」と話す。

使いこなすノウハウは体験教室で学べる

津波で多くの建物が被害を受けた東日本大震災では、野外で食事や暖を取るためのたき火や、テント設営などの技術が必要となる場面も多かった。震災を契機に、登山やキャンプ用品を使って避難生活を体験する教室が各地で増えている。

アウトドア体験サービスを手がける「サニーサイドアウトドアスクール」(静岡県富士宮市)は2019年、キャンプ場で火をおこしたり、空き缶でご飯を炊いたりする有料イベントを始めた。

防災教室を続けているNPO法人「プラス・アーツ」(神戸市)の永田宏和理事長は「近い将来の発生が予想される南海トラフ地震では、津波災害が起こる可能性が高い。便利な世の中になって生きる力が退化しており、防災力を身につける必要がある」と指摘する。

(読売新聞 2021年3月11日掲載 経済部・井上絵莉子)

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

公式SNS