天気予報・気象庁は天気をどこまで予測できるのか

写真説明:球磨川が氾濫し、広範囲で冠水した市街地(2020年7月4日、熊本県人吉市で)

2020年の九州豪雨のときは……

2020年7月の九州豪雨で甚大な被害が出た熊本県・球磨川の治水対策は、最大の支流である川辺川に流水型ダムを造る方針が固まりつつある。住民を守るには、こうしたハード面に加え、予報精度の向上が喫緊の課題だ。予報の現状を探った。

予報の心臓部にあたる「気象防災オペレーションルーム」

東京・虎ノ門の気象庁9階にある「気象防災オペレーションルーム」は、気象予報の“心臓部”だ。コロナ禍を警戒し、担当者以外は職員も入れない。全国の気象データや衛星画像などが集約され、1秒間に1京8000兆回の計算速度を誇る庁外のスーパーコンピューター(スパコン)とつながり、気象状況をはじき出す。

写真説明:全国の気象データが集まる気象庁の「気象防災オペレーションルーム」(2020年11月25日、東京都港区で)=同庁提供

本庁舎は2020年、建設から半世紀が過ぎた東京・大手町の建物から虎ノ門に移転した。首都直下地震や大規模氾濫が発生しても業務を続けられるよう、最新の防災設備を導入している。

写真説明:東京・虎ノ門に完成した気象庁の新庁舎

スパコンに100億円投入

2年前に更新したスパコンには、年間予算の2割近い約100億円の開発費を投入した。全国約1300か所の地域気象観測システム(アメダス)で観測した気温や雨量、雨雲の動きをとらえた衛星画像などを基に「数値予報」を算出する。

日本周辺を5km四方にした「メソモデル」など複数の数値があり、予想降雨量も示される。そのデータを基に最終的に予報を判断するのは、経験を積んだ予報官だ。現在、翌日に雨が降るかどうかの予報は的中率86%という。

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