災害時のマンション 停電・断水…管理組合どう備える?

大規模災害時は停電が長期化する

大規模災害では、停電の長期化が予想される。首都直下地震について国の中央防災会議が2013年に示した想定では、被災直後は最大5割にあたる約1220万軒が停電。1週間後も電力供給能力は5割程度と変わらない。1か月後にやっと94%となるという。

エレベーター停止なら階段で荷物を運ぶ

マンションでは、水道水をポンプで加圧して上層階に供給する方式の場合、断水が起こる恐れもある。エレベーターの停止が長引けば、階段で水などを運ばなければならなくなる。

不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(東京)の土屋輝之さんは「高齢者らにとって、重い荷物を階段で運び上げるのは体力的に難しい」と指摘する。管理組合で、高層階や中層階、低層階ごとに備蓄することも検討したい。

在宅避難を行う知恵

玄関ホールにホワイトボードを設置するなどし、電気や水道の復旧や食料配布、給水車の状況などについて情報共有することも重要だ。在宅避難では、地域情報を得る機会が減るためだ。タワーマンションの場合は、高層階の住民が階段で自宅に戻るのが難しいケースも想定される。低層階の集会室などに「マンション内避難所」を設けることも考えたい。

管理組合の中に防災委員会などの担当を設けるマンションも多い。土屋さんは「メンバーを毎年、総入れ替えするのではなく、長年担当して事情のわかる人を数人残すなどの工夫をしてほしい」とする。

ただ、住民が「管理組合が助けてくれるだろう」と頼り切るのは禁物だ。「自助を優先することが大前提」と話す。

◆停電時、暮らしはどうなる? 管理組合が備えておくべきことは?

各項の上段(黒字)は、停電時にマンションで起こりうる事態、下段(赤字)は、それらに対応するために管理組合が事前に取っておくべき対策をまとめた。

<エレベーター>
エレベーター

<水道>
水道

<オートロック>
オートロック

<照明>
照明

<非常用電源>
非常用電源

<災害用居住者名簿>
災害用居住者名簿

<機械式駐車場>
機械式駐車場

(さくら事務所などへの取材を基に構成)

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