コロナ禍などで心が不調と感じた時セルフケア本で労わる

写真説明:表紙や挿絵のイラストが優しいメンタルケア関連本

自分に合ったメンタルケア本で日々の支えに

長引く新型コロナウイルスの影響で、心の不調を訴える人が増えている。そんなときは、メンタルケアに関する本を手に取ってみるのもいい。合うものが見つかれば、日々の支えになるかもしれない。

厚生労働省と警察庁の集計によると、2020年の自殺者(速報値)は前年比3・7%増の2万919人で、11年ぶりに増加に転じた。休校や外出自粛に伴う学業や仕事、育児の悩み、家庭内暴力などが背景にあるとみられ、メンタルケアへの関心も高まっている。

段階別100のセルフケア術を紹介

そんな中で8刷2万3000部と売り上げを伸ばすのが、2020年7月に刊行された『セルフケアの道具箱』(晶文社)だ。著者で臨床心理士、洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長の伊藤絵美さんは、「セルフケア」が自分一人で解決を図ることではなく、他人の力を借りて自分を楽にすることだと説く。

簡単な作業や身体の動きで「とりあえず、落ち着く」ことから始め、「誰かとつながる」、感覚に集中する「マインドフルネス」の実践など、段階別に100のセルフケア術を紹介。コロナ禍を想定した本ではないが、だからこそ汎用(はんよう)性が高く、自身に内在する問題への気づきを与えてくれそうだ。

ネコになってみたりエア縄跳びをしたり…

精神科医の鹿目将至(かのめ・まさゆき)さんは、コロナ禍で孤独感を深める一人暮らしの人向けに『1日誰とも話さなくても大丈夫』(双葉社)を刊行。独居者を診る機会が増えたという著者が試し、効果のあった小さな工夫を伝える。

といっても、堅苦しいものはない。ネコになったつもりでテレビのアナウンサーに「こにゃにゃんわー」とあいさつしたり、家で「エア縄跳び」をしたり。一人で自由に気分転換をすれば良いのだと気づかされる。

軽いタッチなど他にもさまざま

「ほどほどに」他者と付き合う極意を記すのは、「SNS発」やマンガといった軽いタッチの本だ。『1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)はツイッターで20万人以上のフォロワーを持つ精神科医・Tomyさんのメッセージ集。『多分そいつ、今ごろパフェとか食ってるよ。』(サンクチュアリ出版)は2匹のネコが会話する4コママンガを通してアドバイスする。

ストレスをうまく言葉にできない子ども向けには、絵本『子どものためのマインドフルネス』(創元社)がある。「子ネコが背のびをするマネをしてみよう」などとイラストの動物たちが体を動かすよう呼びかける内容で、リラックスできると同時に、親子のコミュニケーションにもつながりそうだ。

著者からのアドバイス

苦しい時はどうしたらいいのか。『セルフケアの道具箱』を書いた伊藤絵美さん=写真=に聞いた。

この1年余りクライアントと接していて、特に女性が、コロナ禍による仕事と家事のしわ寄せで苦しんでいると感じます。一方で家にこもって元気になったという人もいて、影響は一面的ではないとも思えます。

意識して続けることが支えに

本で紹介するセルフケアは簡単な方法ばかりです。好きな人や憧れの人をイメージするとか、お風呂でお湯や泡の感覚を味わうとか。劇的な効果はありませんが、意識して続けること自体が支えになります。

苦しみの中にいる人にとって、自殺という行為は究極のセルフヘルプなので、否定はしたくない。でもそうなる前に「一緒に自分を助け続けましょう」「ほどほどに信頼できる人をめげずに探しましょう」と伝えたい。まずは苦しむ自分を受け止めてください。「私よりもつらい人がいる」などと他人と比べて帳消しにせず、自分のケアに焦点を絞ってほしいと思います。

(読売新聞 2021年3月11日掲載 文化部・中井道子)

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