風水害 逃げる(1)アプリで避難情報得る(連載)


写真説明:全国展開するパソコンやスマートフォンの教室「わかるとできる」では、防災アプリの使い方講座を開いている(同社提供)

近年増えている風水害では、警報や避難勧告などの情報を基に、早めに適切に逃げることが、命を守るカギになる。まずは、災害情報を通知してくれるスマートフォンの防災アプリの活用から考えたい。

全国展開するパソコンやスマートフォンの教室「わかるとできる」では2018年の西日本豪雨以降、防災アプリの使い方講座を開いている。担当の古屋敷(ふるやしき)慎さんは広島県出身で、豪雨で知人が命を落とした。「身近なスマホを使って命を守る方法を知ってほしいと考えた」と話す。

講座で使うのは、ユーザーが1900万以上の防災アプリ「Yahoo!防災速報」。気象庁や自治体などの発表を基に、現在地のほか、登録した地点の災害情報が、「プッシュ通知」で自動的に送られてくる仕組みだ。

自宅や勤務地など3地点まで登録でき、河川洪水や避難など15種類の災害情報から必要なものを選んで設定できる。例えば、大雨危険度通知を設定した場合、高齢者などに避難の判断を促す警戒レベル3相当や、全員に促すレベル4相当の情報が発表されると、スマホに通知が届く。

シニア層を中心に受講しており、昨年の台風19号の際に避難に役立てた人もいるという。古屋敷さんは「ぜひ防災アプリを使い、緊急時にきちんと通知されるよう、家族で設定を確認し合ってほしい」と呼びかける。

防災アプリはほかにもある。災害情報をプッシュ通知で送るものが多く、「特務機関NERV(ネルフ)防災アプリ」は、有名アニメ作品のデザインを画面に取り入れ、親しみやすくしている。NTTドコモモバイル社会研究所の昨年の調査では、スマホ所有者の約4割がこうしたアプリをインストール。ITジャーナリストの三上洋さんは、「どのアプリも基本的な機能はそろっており、自分の使いやすいものを利用してほしい」と話す。

 ◆防災アプリ3か条
▽設定などを事前に確認
▽モバイルバッテリーを準備
▽頼りすぎず、他の情報収集手段も

最寄りの避難所などの情報が分かるアプリも。「防災情報 全国避難所ガイド」は、地図上に避難所などまでのルートが示される。災害発生時、外出先などで避難先がわからない時にも便利だ。

ただ、防災アプリの利用には注意すべき点も。災害時、通信障害が起きれば、プッシュ通知は届かない。「全国避難所ガイド」の場合、事前に起動しておくと、周辺の地図データがスマホに保存され、通信障害時もオフラインで見られる。必要性が高い自宅周辺などで事前に起動しておこう。

停電でスマホが充電できなくなることも想定する必要がある。充電用のモバイルバッテリーを用意しておきたい。

三上さんは「より長く使えるよう、スマホの省電力モードを活用しましょう」と助言する。ほかにも、電力を最も消費する液晶画面を暗くしたり、ロック画面になるまでの時間を短くしたりする方法があり、設定方法を確認しておくべきだという。

三上さんは「防災アプリに頼りすぎず、情報は携帯ラジオなど他の手段でも得られるようにした方がいい」と指摘する。

◇主な防災アプリ

・Yahoo!防災速報
現在地のほか、自宅や勤務地など3地点までの気象警報のほか、地震や津波などの災害情報がプッシュ通知で届く

・goo防災アプリ
気象警報などがプッシュ通知で届く。地図上に避難所などの位置や標高などが示され、一部はオフラインで利用可

・特務機関NERV防災アプリ
迅速なプッシュ通知と、シンプルで見やすい画面が特徴。視覚障害者向けに音声読み上げの機能もある

・防災情報 全国避難所ガイド
近くにある避難所などが地図上に表示され、一目でわかる。今いる場所の災害情報がプッシュ通知で届く

 

(読売新聞 2020年5月13日掲載)

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