国民の3割3651万人に洪水被害リスク!土地開発は?家庭の備えは?

写真説明:九州豪雨で氾濫した球磨川。流域の住宅街では甚大な被害が出た(2020年7月、熊本県人吉市で)

激甚化した豪雨災害の現状と課題

この時期、懸念されるのが地球温暖化の影響で激甚化している豪雨災害だ。近年、各地で毎年のように「観測史上最大」の雨量を記録し、治水対策が進む地域でも被害が目立つ。こうした状況を踏まえ、被災リスクの高い場所での宅地開発を規制する動きも出てきた。

九州豪雨の現地調査でわかったこと

2020年7月の九州豪雨で甚大な被害が出た熊本県の球磨(くま)川流域。現地調査した九州大の小松利光名誉教授(河川工学)は目を見張った。市街地は一帯が土砂に覆われ、電柱の先端に引っかかっていた漂流物が浸水の深さを物語っていた。

球磨川は「日本三大急流」の一つとして知られ、古くから大水害を繰り返してきた。だが、昭和後期までに河川改修や護岸整備などの治水事業が進み、ここ40年ほどは比較的小規模の被害にとどまっていた。

しかし、九州豪雨では県内の家屋4600棟以上が全半壊し、約20年前に開所した球磨川近くの特別養護老人ホームでは14人が犠牲となった。

小松名誉教授は「温暖化でリスクが高まっており、同じような水害はまた起きる。ダム整備や河川改修に加え、土地の利用制限も本格的に検討する必要がある」と強調する。

「洪水浸水想定区域」内の人口推移

近年の日本では、豪雨災害のリスクを抱える地域の人口が増え続けている。

国土交通省の推計によると、河川氾濫で被災する恐れがある「洪水浸水想定区域」の住民は、1995~2015年の間に169万人増え、日本の総人口の28・7%(3651万人)を占めるに至った。この区域の人口割合は今後も増え、50年には総人口の30・5%に達するとの報告もある。

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