西日本豪雨で町が浸水した!地元小学生が資料やVRで経験を学ぶ

写真説明:豪雨の被災状況について語り部から説明を受ける小学生たち(愛媛県西予市の「災害伝承展示室」で)

愛媛県西予市が始めた防災教育プログラム

2018年7月の西日本豪雨から3年を機に、大きな被害を受けた西予市野村町で、市が昨年に開設した「災害伝承展示室」を活用し、被災の教訓を若い世代に伝える防災教育プログラムが始まった。6月には地元の市立野村小学校の6年生が展示室で災害語り部から話を聞き、仮想現実(VR)機器の立体的な動画で町が浸水する様子を体験した。

小中学生向け「必須」と「選択」

市は2021年度、愛媛大などと連携し、市内の小中学生を対象に独自の防災教育プログラムを開始。被災の教訓を伝えることで防災・減災の意識を育んでもらい、災害に強い人材育成、まちづくりにつなげる狙いだ。

写真説明:西日本豪雨で被害を受けた愛媛県西予市野村町(2018年7月9日)

乙亥(おとい)会館内にある災害伝承展示室の見学を「必須学習」とし、13種類の「選択学習」から希望する内容を組み合わせて受講する。選択学習は「地図から読み解く減災講座」や「防災キャンプ」、「マイタイムラインを作ろう」など幅広く災害を学べる内容とした。

「必須学習」を見てみると…

コロナ禍で休館していた乙亥会館が再開し、野村小の6年生約60人が2日間に分かれ、初めてプログラムを受けた。

写真説明:語り部から豪雨で肱川が氾濫した状況について説明を受ける小学生たち(西予市で)

展示室では、被災時に濁流にのまれた野村町内の橋や道路の写真などを見学。市民団体「語り部018のむら」のメンバーから約7500人のボランティアが復興支援で訪れたことなどを聞き、児童は真剣な表情でメモを取った。

また、VR用のゴーグルを装着し、橋の上に立った視点で徐々に浸水する状況を体験。児童は「危ない」と驚きの声を上げ、市職員の「早めの避難が大切」という説明にうなずいた。

VRを体験した小学生たちは…

男児(11)は「川があふれて一瞬で町が水につかり、びっくりした。非常用バッグを用意して高い所に逃げるようにしたい」と語り、女児(11)は「通っていた保育園が水につかった写真を見て怖かった。すぐに避難できる方法を考えたい」と話した。

(読売新聞 2021年6月12日掲載 松山支局・栢野ななせ)

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