風水害で逃げる時 正常性バイアスに用心して


風水害の危険が迫り、避難情報が出ても、すぐに避難せずに命を落とす人は少なくない。なぜなのか。

避難情報が出ても避難しないのはなぜ?

「人の心は、異常を感じても『大したことはない』『自分は大丈夫』と、ある程度までは考える癖や、周囲と異なる行動を取りたがらない傾向がある」。兵庫県立大教授(防災心理学)の木村玲欧(れお)さんは説明する。災害時に危機を楽観的に捉えたり、不安を感じても周囲に合わせたりして逃げ遅れにつながるという。

異常を正常と受け止める心理作用は「正常性バイアス」と呼ばれる。物音や環境変化など、何かが起こる度に反応していては疲れてしまいかねず、心の平安を保つための防御機能と言える。一方、周囲に行動を合わせるのは「同調性バイアス」。集団生活を営むために有効で、日本人はこの傾向が強いとの指摘がある。いずれも平常時は必要だが、非常時には危機意識を鈍らせる。

東京女子大名誉教授(災害・リスク心理学)の広瀬弘忠さんの実験では、被験者が1人でいる部屋に軽い刺激臭のある白煙をゆっくりと吹き込むと、7割は煙が充満しても室内にとどまった。「体に良い煙だと思った」と都合の良い解釈をした人もいた。また、部屋にいる10人のうち1人にだけ実験と知らせず、非常ベルや消防車のサイレン音を鳴らして室内に煙を入れたところ、他の9人が動かなければ、逃げようとしなかった。

◆正常性・同調性バイアスの影響が指摘された事例

 

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