風水害・避難所生活(1)避難者自らコロナ対策(連載)


写真説明:愛知県豊橋市の訓練では、住民らが非接触型の体温計を使って検温した(同市提供)

風水害にいつ見舞われてもおかしくない季節を迎えた。避難勧告などが出て向かう避難所での生活は長引くにつれ、集団生活による負担や健康面のリスクが増える。新型コロナウイルスの感染防止も大きな課題だ。避難所生活を乗り切るポイントを考えていく。

愛知県豊橋市内の小学校で13日、新型コロナウイルス対策を取り入れた避難所開設の訓練が行われ、自治会役員ら住民と市職員ら約50人が参加した。フェースシールドを着けた人が入り口で、非接触型の体温計を使って避難者を検温し、発熱者を専用の教室に誘導。避難者スペースには段ボールの間仕切りを設置するなどした。参加した住民からは「避難者同士の間隔を空けるため、今までのような人数は収容できない」などの声が上がったという。

多くの人が集まる避難所は感染症のリスクが高い。2011年の東日本大震災や16年の熊本地震では一部の避難所で、インフルエンザやノロウイルスの感染が広がった。国はこれまでも自治体に避難所での感染症対策を求めてきたが、新型コロナを受けて新たに、できるだけ多くの避難所を開設し、換気をしたり、各家族間の距離を1~2メートル以上空けるなど十分なスペースを確保したりするように要請。これを受け、開設訓練を行う自治体も目立つ。

感染防止には、避難者自身の対策も重要だ。久留米大教授(災害看護)の三橋睦子さんは「避難所では物資が不足しがち。必要なものはできるだけ持って行きましょう。体に触れる物は、家族でもできるだけ共用しないことが大切」と話す。予備のマスクや体温計、手指消毒液などは配布や用意される可能性もあるが、不足しがちだ。スリッパやタオルなどは、一人一人専用のものを持参したい。

 

行動も重要だ。浜松医科大教授(公衆衛生学)の尾島俊之さんは「普段心掛けている行動を、避難所ではさらに徹底させる必要がある」と呼びかける。3密の状況を避け、人との間隔はできれば2メートル(最低1メートル)は取る。マスクは特に人と近くで話す時には着ける必要があるが、熱中症の恐れがある場合は、周囲に人がいない場所で外してもいいという。

出入り口やトイレのドアノブなどを触った場合には手洗いを励行。洗った後に蛇口を触った際も、消毒液などを使う。鼻をかむのに使ったティッシュなどのゴミは、ポリ袋などにまとめて口を閉め、ゴミ箱に捨てる。ウイルスは便中にも含まれるため、洋式便座であれば蓋を閉めて流す。便座は使用前後に、消毒液などを使って拭く。

尾島さんは「お互いへの思いやりも大事。感染者への批判や偏見は、体調不良を隠すことにつながり、感染リスクが高まる。体調を正直に言える雰囲気作りを心掛けて」と強調する。

◆新型コロナ対策3か条
▽必要な物は持参
▽普段の対策を徹底
▽親戚宅などへの避難も検討

◆知人宅・自宅待機も選択肢

感染防止のため、避難所に行かない選択肢もある。兵庫県の防災研究機関「人と防災未来センター」研究員の高岡誠子さんは、「親戚や知人宅への避難を考えてもいい」と指摘する。マンション上階など、自宅に浸水や倒壊などの恐れがなければ、とどまるのも有効だという。

適切な判断ができるよう、普段からハザードマップで自宅のある場所の浸水などの可能性を確認。危険がある場合、親戚や知人らに避難させてもらえるか事前に相談しておく。高岡さんは「避難所以外に避難先が見つからなければ、迷わず避難所に向かいましょう」と力を込める。

 

(読売新聞2020年6月17日掲載)

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