風水害・避難所生活では避難者自らコロナ対策を

 

行動も重要だ。浜松医科大教授(公衆衛生学)の尾島俊之さんは「普段心掛けている行動を、避難所ではさらに徹底させる必要がある」と呼びかける。3密の状況を避け、人との間隔はできれば2m(最低1m)は取る。マスクは特に人と近くで話す時には着ける必要があるが、熱中症の恐れがある場合は、周囲に人がいない場所で外してもいいという。

出入り口やトイレのドアノブなどを触った場合には手洗いを励行。洗った後に蛇口を触った際も、消毒液などを使う。鼻をかむのに使ったティッシュなどのゴミは、ポリ袋などにまとめて口を閉め、ゴミ箱に捨てる。ウイルスは便中にも含まれるため、洋式便座であれば蓋を閉めて流す。便座は使用前後に、消毒液などを使って拭く。

尾島さんは「お互いへの思いやりも大事。感染者への批判や偏見は、体調不良を隠すことにつながり、感染リスクが高まる。体調を正直に言える雰囲気作りを心掛けて」と強調する。

◆新型コロナ対策3か条
▽必要な物は持参
▽普段の対策を徹底
▽親戚宅などへの避難も検討

知人宅・自宅待機も選択肢

感染防止のため、避難所に行かない選択肢もある。兵庫県の防災研究機関「人と防災未来センター」研究員の高岡誠子さんは、「親戚や知人宅への避難を考えてもいい」と指摘する。マンション上階など、自宅に浸水や倒壊などの恐れがなければ、とどまるのも有効だという。

適切な判断ができるよう、普段からハザードマップで自宅のある場所の浸水などの可能性を確認。危険がある場合、親戚や知人らに避難させてもらえるか事前に相談しておく。高岡さんは「避難所以外に避難先が見つからなければ、迷わず避難所に向かいましょう」と力を込める。

 

(読売新聞2020年6月17日掲載 「防災ニッポン 風水害・避難所生活」①)

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