公衆電話は2種類ある
街中の公衆電話には、実は第1種と第2種があり、減っているのは商業用の第2種の方。第1種は国民生活に不可欠として省令で設置が義務づけられ、市街地では500m四方に1台、それ以外では1km四方に1台設けられている。
◆公衆電話の種類
<第1種>
国民生活に不可欠なサービスとして「市街地での500m四方に一台」などの設置義務が省令でNTT東日本・西日本に課せられている
<第2種>
NTT東西が独自に設置。1種とともに、設置に協力する店主らの「受託者」が小銭を回収。NTT東西は受託者に手数料を支払う
東日本大震災のときにおきたこと
公衆電話の存在が見直される契機となったのが、2011年3月の東日本大震災だ。地震直後、東北や関東を中心に携帯の通話が集中し、一時、平時の50~60倍に膨らんだ。携帯各社は、大規模な通信障害で警察や消防などに割り当てられた「災害時優先電話」も使えなくなる事態を避けようと、通信規制を実施。最大でNTTドコモが90%、KDDIが95%を規制し、極めてつながりにくい状態となった。
そんな中、通信規制を受けない公衆電話に長蛇の列ができた。停電時に使用できるのも強みで、指定エリアでは無料で使える「無料化措置」も取られた。無料化措置は1995年の阪神大震災を機に仕組みが整えられ、2016年の熊本地震などでも実施された。
写真説明:東日本大震災で携帯電話がつながりにくくなり、公衆電話に行列を作る帰宅困難者たち(2011年3月11日夜、東京のJR渋谷駅前で)
長野市の吉田地区では2年前、住民有志が作成した災害時用マップに、公衆電話の位置を盛り込んだ。マップ作りを呼びかけた返町(そりまち)洋三さんは、「歩き慣れた道でも、意識しておかないと存在に気づかない」と話す。
災害時専用の公衆電話もある
東日本大震災以降は、災害時専用の公衆電話の設置も進む。見た目は家庭の固定電話と変わらないが、避難所となる体育館などにあらかじめ設け、災害時のみ無料で使えるようにする。2020年度には全国で約8万6000台が置かれ、2011年度の9倍以上になった。
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