どう守る?登下校中の地震!小学校や家庭に必要な備え(前編)

シナリオ2 学校?帰宅?安否つかめず…準備不足

校内に残っていた高学年の児童らに大きなけがはなかった。学校からの出火、建物の倒壊もなく、地震による津波の心配もないことが分かった。

「2次避難は必要ありません」。太郎が他の教職員に伝え、一安心したのもつかの間、下校中にけがをした児童が次々と学校に戻ってきた。下校中の児童は、学校に戻ってきた子と、そのまま帰宅した子で対応が分かれたようだ。

「いま学校にいない児童の安否確認を急ごう」。太郎は若手教員数人に、通学路でけがをして動けない児童がいないか巡回に出るよう指示。太郎は職員室で、子供の安否を尋ねてくる保護者の電話対応に追われた。

児童の安否確認は難航した。「無事に帰宅している児童については、保護者からメールやSNSで学校に連絡を入れるルールを決めておくべきだった」。太郎は準備不足を反省した。

この日は、あいにく校長が出張で不在だった。指揮官不在で混乱が続いた。

シナリオ3 保護者の引き取り混乱…ルール不徹底

学校には保護者から「子供が帰ってこない」「迎えに行った方が良いのか」などの問い合わせも相次いだ。太郎の学校では震度5弱以上は原則、保護者が引き取りに来るまで、児童は学校に待機させるルールを決めていたが、十分に浸透していなかった。

中には両親が共働きで、連絡がつかない家庭も多い。気を利かせた親戚や近所の同級生の保護者が連れて帰ろうとするケースもあった。ただ、事前に登録されていない人に児童を引き渡すわけにはいかない。太郎はいら立つ人の説得に追われた。

避難所に指定されているので、体育館には地域の住民や近くの企業に勤める帰宅困難者が大勢集まってきた。太郎たちは残っている子供たちへの対応をしなければならなかったが、避難所開設も行わなければならず、困惑した。

学校に待機する児童や教職員の食料まで備蓄していなかった。「先生、おなかすいた」。保護者の引き取りを待つ児童たちの悲痛な訴えに、太郎は頭を抱えた。

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS