命を守る「災害・避難カード」! 逃げるタイミングを住民同士で共有

カード導入の広がり

内閣府によると、和歌山県那智勝浦町や岡山県美咲町などでも災害・避難カードの導入例がある。兵庫県は2019年度から、災害・避難カードを参考に、「マイ避難カード」という取り組みを始めた。西日本豪雨で避難した人が少なかったことがきっかけという。

◆三善地区以外の「災害・避難カード」導入例

運用面で大切なのは「率先して逃げる」

災害・避難カードでは、住民それぞれが、逃げるタイミングを決めるルールだが、いざとなると、気恥ずかしさなどから避難をためらうことも想定される。そんな時に大切なのが「率先避難者」の存在だ。

身の危険が迫っても自分は大丈夫だと思う心理は、「正常性バイアス」と呼ばれる。災害時は、この心理状態をどう乗り越えるかがカギとなる。

東京大の片田敏孝特任教授(災害社会工学)は「正常性バイアスは、人間が物事を心配しすぎることなく日常を過ごす上で当たり前の心理状態だ」と説明する。

しかし、誰かが避難を始めれば、今度は「逃げた方がいいのでは」と不安になる人が増え、住民が一斉に避難することになる。

「家族や友人など大切な人を守るためには、自分がまず逃げるという行動が求められている」と片田特任教授は話す。

(読売新聞 2021年7月29日掲載 「減災」 科学医療部・長尾尚実)

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