震災遺構で元中学校教諭が伝える「見て理解して命を守る行動に」

教員に伝えている2つのこと

訪れた人が教員の場合、二つ話をします。一つは、いつどんなことが学校で起こるかわからない。例えば、日曜日で部活の先生しかいない場合、そこで災害が発生すれば、その先生が子どもを避難させるリーダーにならなければならない。中浜小では、津波が迫る中、校長が屋上に避難する決断をしました。管理職がいなければ、そうした判断を迫られる可能性があります。

児童や生徒の引き渡しについて

もう一つは、児童生徒の引き渡しについてです。災害時、学校に迎えにきた保護者に子どもと帰ってもらうことを良しとするかどうかは悩みどころ。保護者が迎えに来た6人を自宅に戻らず避難することを条件に引き渡して全員助かりました。けれども、あの時、津波到達がもっと早ければ逃げ遅れて亡くなった方がいたかもしれない。引き渡しがその子と親にとって安全か、学校にとどまる方がいいのか。難しいが、教員はそこまで考えなければなりません。

自然災害は間違いなく起こるし、減らすことはできない。けれども、命が助かるような行動を、個人として組織としてできるようになることが理想ですね。それに向かって共に学んでいければと思います。

(読売新聞 2021年7月27日掲載 「伝える 復興に向けて」(159)東北総局・伏見公男)

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