備えない防災「フェーズフリー」のすすめ

目を少し転じれば「50年に1度」が頻発

2013年から気象庁は、警報よりもランクが上の特別警報を新設しました。なかでも「大雨特別警報」の発表基準は「50年に1度」くらいです。ところが、この「50年に1度」が運用開始から毎年のように発表されています。地球温暖化の影響かどうかはわかりませんが、地球規模の気候変動の影響は、もう現実になってきているのです。

2021年7月3日にも静岡県熱海市で土石流災害が発生しました。熱海だけでなく、九州や中国地方でも大きな被害が出ました。

写真説明:記録的な大雨で大規模土石流が発生した静岡県熱海市の傾斜地(2021年7月3日撮影)

残念ながら、気候変動は今後ひどくなることはあっても、以前のような穏やかな状況になるとは予想されていません。ですから、これまでの山梨は本当にたまたま大丈夫だっただけで、当然、他の地域と同じような災害が起こるということを理解してください。

かつては水害対策で「軒先にボート」

過去には甲府盆地でも、釜無川や御勅使川などの急流河川が度々氾濫を起こしてきました。1959年には、1年間で100人以上の人が水害で亡くなっています。当時、水害は起こることが前提で、住宅の軒先にはボートがあったといいます。

これ以外にも、1982年には武川で大規模な土石流が発生し、一晩で川底が10m以上削られて「ミニグランドキャニオン」などと呼ばれました。1983年には河口湖が増水してあふれ、大きな被害が出ています。

現在では、ダムや堤防の整備が進み、中小規模の水害は起きなくなりました。ただ、強い雨が降れば必ず災害は起きます。中小規模の水害を抑え込める分、起きるときは、これまでになかったような災害がいきなり発生します。ですから、決して経験で判断しないでほしいと思っています。

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