災害時の「車で避難」医療ケア継続には電源確保の工夫も!

医療機器の電源は常時必須のため…

出前授業では、日野通信システム(横浜市)が開発した車載用ソーラー電源システムが関心を集めた。バッテリーが尽きても、車の屋根に取りつけたソーラーパネルを使ってポータブル電源に充電し、電気を供給できる。

写真説明:日野通信システム(横浜市)が開発した車載用ソーラー電源システム

PTA会長の萩原淳子さんの高等部3年になる長女(17)は食べ物をペースト状にしたり、たんを吸引したりするケアが必要だ。萩原さんは「こうした装置を使えるようになれば、自助の一つの選択肢になりますね」と期待する。

車中避難のメリットとデメリット

熊本県のアンケート調査によると、2016年の熊本地震では、避難者2297人の約7割が車中避難を選んだ。選択理由には、「車が安全」「プライバシーの問題」「小さな子供や体が不自由な家族がいた」「ペットがいた」「避難所が満員」が挙がったという。

ただ、車中避難には注意点もある。豪雨災害などの際、車が冠水した道路で動けなくなったり、増水した川に流されたりするケースも起きている。
▽雨や風が強まる前、暗くなる前の早めの避難
▽土砂災害などのリスクがない安全な走行ルートや駐車場所の確保
――といったことが重要だ。

熊本地震で家族と車中避難を続けた一般社団法人「よか隊ネット熊本」代表理事の土黒功司さんは「トイレや水がないと本当に困る。公園や大型スーパー、避難所の近くなど、駐車場所をあらかじめ想定しておきたい。支援が届かないこともあるので1、2日分の保存食や飲み物も常備する。避難者同士の助け合いも大切」とアドバイスしている。

◆災害時に車を活用するポイント(神奈川トヨタ自動車調べ)
▽エコノミークラス症候群にならないよう、時々、外に出て体を動かす
▽医療機器など精密機器を使う場合は、機器を破損しないようポータブル電源経由で利用する
▽シートを倒してベッド代わりにする際は、バスタオルやマットなどで凸凹をなくす
▽常に燃料を満タンにしておき、いざという時に備える

(読売新聞 2021年8月15日 横浜支局・池尻敦)

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