知ってました?南海トラフ地震の発生可能性が高まった時の情報発表の流れ

3つのうち「巨大地震警戒」が発表されたら

「巨大地震警戒」の場合、異常は「前震」で、過去の事例から、さらに大きな地震が連続して起きる可能性が平時より高まっている、ということになる。さらなる地震に備え、津波が地震直後に到達するなど避難が難しい地域の住民に対しては、あらかじめ安全な場所に1週間避難しておく「事前避難」が呼びかけられる。

ただ、臨時情報が発表されても後発地震が必ず起きるとは限らない。そのため、経済活動はできるだけ停滞させないよう、国は企業活動や公共交通機関の運行などについては可能な限り継続していくことを求めている。

臨時情報が出されるのは「起きてから」

このように、臨時情報は南海トラフを震源とする地震が「起きてから」しか発表されない。気象庁の評価検討会で委員を務める横田崇・愛知工業大教授(地震学)は「過去の事例では東側で先に起きている。東海地方は臨時情報より前に甚大な被害を受けることを前提にしておくべきだ」と警鐘を鳴らす。四国沖といった西側で先に大地震が起きたとしても、東海地方はその段階ですでに大きな揺れを観測し、三重県南部などの沿岸部では津波被害が出ている可能性が高く、混乱は避けられない。また、南海トラフ地震は内陸直下型の地震を誘発する可能性が高いとされている。実際、愛知県を中心に大きな被害をもたらした三河地震(1945年1月)は、昭和東南海地震の37日後に起きている。

横田教授は「臨時情報は、後発地震による二重、三重の被害を少しでも軽減するためのものと考えてほしい。まずは普段からの、突発地震への備えが最も重要だ」と強調している。

(読売新聞 2021年9月9日掲載 編集センター・内田郁恵)

<関連する記事はこちら>
地震への備え 揺れた後はブレーカー落とす!

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS