高層ビルで大地震!長周期地震動で揺れが大きく長く襲う(前編)

写真説明:オフィスや自宅が高層階にある場合「長周期地震動」のことは知っておきたい。

紀伊半島の地震で、都心の50階で働くあなたに起きること

限られた都心部の土地を活用するため空へと伸びる高層ビル。耐震性などを国が1棟ずつ審査しているが、高層階が大きく揺さぶられる「長周期地震動」に襲われると、大きな被害を受ける恐れがある。「ここなら安全」という思い込みが対策の遅れを招くことも。実際に起きうるシナリオで心構えを考えたい。

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シナリオ1 1分後楕円を描くようにぐわーんぐわーんと揺れる!

太郎(38)の勤務先は高層ビルの50階にある。東京湾を見下ろすオフィスで打ち合わせ中、テレビから緊急地震速報の音が鳴り響いた。

震源は、数百㎞離れた紀伊半島沖と表示されている。すぐに身構えたが揺れは感じない。

同僚は「間違いじゃないのか」と表情を緩めたが、1分ほどたつと、ブラインドが揺れ、ホワイトボードが左右に動き始めた。少しずつ横揺れが強くなってゆく。5秒ほどの周期で楕円(だえん)を描くように「ぐわーん、ぐわーん」と揺れるようになった。立っていられなくなり、怖くなって床に伏せた。

机は固定されていたが、パソコンが落下し、倒れたロッカーもあった。キャスターがついたイスやコピー機が床を滑ってくる。天井のパネルが剥落(はくらく)し、バーンと大きな音がした。「キャー」「痛い」という悲鳴があちこちで起きる。スプリンクラーが壊れて周囲は水浸しになった。

「いったいいつまで続くんだ」。太郎は床に這(は)いつくばっていることしかできなかった。

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