長周期地震動にどう備えるか
揺れを装置で吸収する
高層ビルの長周期地震動対策では、揺れを吸収する装置が効果的だ。オフィス機器や家具は「凶器」に変わるリスクが高いため、固定などの自衛策が欠かせない。エレベーター停止や停電で「高層難民」にならないよう、水や食料は1週間程度は備蓄しておきたい。
内閣府の専門家検討会は、高層ビルが倒壊する危険は考えにくいとしたうえで、安全対策をとるよう求めている。
■長周期地震動で高層ビルが揺れる仕組み(イメージ)
■高層ビルの主な対策 ①~③
① 高層ビルの屋上にある振り子式
新宿三井ビルディング(55階建て)では屋上に約300tの「振り子」を6個つりさげた(=写真)。揺れと逆方向に動くことで、長周期による揺れを半分程度に抑えることができるという。
② 高層ビルの中層部にあるダンパー
代表的な制震装置では、筒の中のオイルの働きで地震エネルギーを吸収するオイルダンパー(=写真)を、中層階の壁など数十か所に設置するケースが多い。
③ 高層ビルの地下にある免震ゴム
特殊なゴムと鋼板を交互に重ねた免震ゴムは、ビルと地面の間に設置される(=写真)。
小刻みな揺れを減らせるため、役所や病院など防災拠点でも使われている。ただ、高層ビルでは揺れ幅が大きくなる共振リスクが増すため、制震装置の方が有効との見方が強い。
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