津波死者19.9万!日本海溝・千島海溝地震の最悪被害想定「冬の深夜」

対策を講じることで死者数を抑えられる

ただし住民が避難率を高め、国や自治体が津波避難タワー・ビルを整備するなどの対策を講じれば、死者数を8割減の3万人に抑えられると指摘。さらに、高台の避難先に毛布を備えた倉庫を整備するなど防寒対策も必要だとした。

避難者数と経済被害

作業部会は、避難者数も推計。日本海溝の地震が冬の夕方に発生した場合、避難者は発生翌日に90万1000人、1か月後でも55万1000人に上るとした。食料は発生当日から3日目までに計340万食不足すると試算した。この場合の経済被害は、日本海溝の地震で31・3兆円、千島海溝の地震で16・7兆円とした。

◆経済被害の内訳

日本海溝沿いでは2011年にM9・0の東日本大震災が発生し、「想定外」の津波で死者・行方不明者が約1万8000人(震災関連死を除く)に上った。

その教訓を踏まえ、内閣府は、震災の震源域よりも北側の日本海溝・千島海溝で発生する巨大地震の想定の見直しに着手。2020年4月、北海道から千葉県までの沿岸が最大約30mの津波に襲われるとの推計結果を公表していた。

地震の痕跡から推計される発生頻度

津波堆積(たいせき)物の調査では、17世紀の巨大津波の痕跡が北海道などで見つかっており、2つの巨大地震はいずれも300~400年以上の間隔で起きているとみられる。作業部会委員の佐竹健治・東京大地震研究所長は「いずれも切迫している」と話す。政府は被害想定を受け、自治体への財政支援の方法などを検討する。

(読売新聞 2021年12月22日掲載)

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