ビル火災時に命を守る逃げ方!炎より怖い煙とフリーズ対策を専門家に聞く

CO中毒を防ぐには

煙はこんな風に広がる

2019年7月にアニメ制作会社「京都アニメーション」の第1スタジオ(3階建て、京都市)で起きた放火殺人事件では、36人がCO中毒ややけどなどで死亡した一方、34人が助かった。

ビル火災でCO中毒などに陥らず、生存確率を上げるにはどう行動するべきか。京アニ事件後、京都市消防局は避難のあり方を検証するため、総務省消防庁とコンピューターを使った想定実験を行い、煙の広がり方などを調べた。

その結果、天井付近にたまった煙は、水平方向には歩く程度の速さ(毎秒0・5~1m)で広がり、垂直方向には階段を駆け上るより速いスピード(同3~5m)で上昇することが判明。出火2分後には、第1スタジオの各階に煙が充満したと推定された。

煙が侵入しにくい場所

さらに、閉め切った会議室やトイレには煙が侵入しにくいことも明らかになった。市消防局予防課の江西基(もとい)担当課長は、今回の事件に該当するかは不明とした上で、「部屋に扉の隙間を塞ぐテープやティッシュをあらかじめ置いておけば、逃げ場がなくなった際の一時的な避難場所になる可能性がある。消防隊は必ず来るので持ちこたえてほしい」と訴える。

こうした実験結果や生存者の証言などを踏まえ、市消防局は火災から命を守るための避難方法を紹介するパンフレットを作った。避難時にハンカチや服で口と鼻を覆いながら姿勢を低く保ったり、火元から遠い廊下や階段の窓を開けて避難経路を確保したりすることの重要性を説明している。

火災時に求められる避難行動

※京都市消防局などの資料をもとに作成

◆全体イメージ(説明は下段の拡大イラストでお読みください)





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