災害時にペットの命を守ることで人の命を守りたい

写真説明:東日本大震災後、宮城県動物愛護センターに保護された犬(2011年5月3日)

NPO法人「エーキューブ」理事長 後藤美佐さん

仙台市などに住む犬好きの市民が集まり、2002年に発足しました。活動内容は仙台市動物管理センターに保護された犬の世話をしたり、会員が飼っている犬を小学校や病院などに連れて行って子どもらとふれあったりしています。東日本大震災では、ドッグフードなどペット向けの支援物資を県内各地へ届けました。

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ペットと一緒の「同行避難」を呼びかけている

もう一つの大きな柱が、主にペットの犬を想定した防災への啓発活動です。災害時にペットと一緒の「同行避難」を呼びかけています。飼い主の命が危ないと思ったら、ためらうことなくペットを連れて避難する。それができれば人の命を守れます。

というのも震災では、いったん自宅から逃げても犬が気になり自宅に引き返した人や、避難所では犬を受け入れてもらえないだろうから、と自宅に残った人が津波に巻き込まれ、亡くなるケースがありました。ペットの命を守ることは人の命を守ることにもなる。このことを伝えていきたいです。

避難所のペットの受け入れ体制のこと

震災時、仙台市内の避難所ではペットの受け入れ体制が不十分でした。ペットの扱いに困り、自家用車に避難したなどの事例が報告され、市の避難所運営マニュアルにペット連れ避難者に関する項目が記載されました。受け入れには町内会、施設管理者、行政で協議することが盛り込まれ、今後は前向きな対応が期待できそうです。

写真説明:避難所の外につながれたペット(宮城県名取市で。2011年3月27日)

飼い主が備えておくとよいこと

いざという時に飼い主はどんな準備をすればいいのか。ペット用の防災グッズが販売されていますが、自分のペットに合わせて必要なものをまとめておきましょう。毛の長い犬ならブラシがあった方がいいです。孤立しても持ちこたえられるよう2、3日分のペットフードがあるとよいです。温度管理が必要な爬虫(はちゅう)類など飼育が難しいペットは預け先を考えておいてください。

私たちのスタンス

私たちはペットがすべてに優先するようなスタンスはとりません。その上で、飼い主が自分のペットを守れる人になってもらえればと思います。動物が好きな人もいれば嫌いな人もいます。避難所で双方に配慮できるペット防災のあり方を発信していきたいです。

(読売新聞 2021年12月21日掲載 「伝える 復興に向けて」(172) 東北総局・伏見公男)

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