乳幼児や妊娠中の防災対策(後編)注意ポイントと必須アイテム

(抱っこひもの写真はダッドウェイ提供)

避難を想定した事前の備えが重要

乳幼児や妊婦は緊急時に迅速な避難行動が取りにくく、避難生活が長引けば、心身両面で負担をより感じやすい。事前に必要な備えや避難時に気を付けるべき点、備えておきたい物などを紹介する。

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避難時の注意点

「乳幼児や妊婦は避難に時間がかかる。事前準備がますます重要になる」。母子向けのマニュアル「あかちゃんとママを守る防災ノート」を監修した産婦人科医で神奈川県立保健福祉大教授の吉田穂波さんは、こう指摘する。

津波来襲時など、迅速な避難が必要な場合に備えて事前に経路を確認し、実際に子供と一緒に歩いておくことが求められるという。乳児の場合は、抱っこひもを使い、抱いて逃げる体験もしておきたい。ベビーカーが通れない場合もあるからだ。

避難生活が長引く場合は

避難生活が長引く場合、身を寄せる場所はよく考えたい。危機管理教育研究所代表の国崎信江さんは、被災地域外の実家や知人宅、ホテルなどに避難することを勧める。

「乳幼児は環境の変化に敏感なため、避難所ではストレスから体調不良になったり、ぐずったりすることも。仕切りがあっても、子供の声が周囲の迷惑になるのではと気を使ってしまいます」。被災地では医療体制が正常に機能せず、妊娠高血圧症候群や乳幼児の急な体調の変化などに対応することが難しいケースも想定されるという。

避難所に行かない選択肢

自宅で安全が確保でき、電気や水道などのライフラインが維持されていれば、在宅避難も選択肢の一つにしたい。在宅避難が可能かどうかは、建物の耐震性や浸水の可能性などを、あらかじめハザードマップなどで調べて判断しておく。
神奈川県立保健福祉大の吉田さんは、自治体が設ける「母子避難所」の活用を呼びかける。「避難者が妊婦や乳幼児を連れた人たちに限定されるため、気兼ねせず利用できます」。例えば、東京都文京区は妊婦、0歳児と母親を対象とした「妊産婦・乳児救護所」を4か所指定している。

吉田さんが中心になって取り組むプロジェクト「giftfor(ギフトフォア)」では、妊婦や乳幼児を対象とした避難所を地図上で示した「災害時母子シェルターマップ」をインターネットで公表(=画像、https://giftfor.life/directories/)。

現在、東京都内を中心に約200か所を掲載しており、随時、更新している。

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