110番通報の内容
通報内容は世相を映す。2020年は通報受理件数は約840万件。前年より7%減った。原因は新型コロナウイルスだ。緊急事態宣言に伴う外出自粛などで、事件や交通に関する通報が13%減少していた。
しかし、緊急の対応を要しない内容の通報は横ばいで、全体の2割を占めた。「マスクをしない人がいる」「宣言中なのに深夜まで飲食店が営業している」などが目立ち、在宅勤務の人からは騒音苦情も寄せられた。
「#9110」の活用もオススメ
「お金がないのでパトカーに乗せて」「家のゴキブリをどうにかして」「携帯電話が壊れた」。コロナ以外でも110番にそぐわない通報は多い。警察は事件・事故の対応に支障が出る恐れがあるとして、要望や相談など緊急性のない場合、全国共通の短縮ダイヤル「#9110」の活用を呼びかけている。
戦後の動乱を収めようと生まれた110番。通報が無用な混乱につながらないよう心がけたい。
110番以外の3桁の電話番号
番号案内の「104」や時刻を確認できる「117」など、3桁の電話番号は他にもある。
「119」と「118」
総務省によると、緊急性や公益性のある用途などに限って使用が認められている。「110」のほか「119」、海上の事故を通報する「118」は通話が無料だ。電気通信事業法の規定に基づき緊急通報の番号に位置づけられ、電話会社が負担したり、固定電話やスマホの利用者から毎月数円を広く徴収したりして無料を維持している。
間違い電話も多い。特に118は例年40万~50万件の通報があるが、99%が無効扱いだ。番号が浸透していないことに加え、スマホなどでダイヤルをタッチする方式では、末尾の「8」の部分が110や119の各末尾と隣接しており、押し間違いが起こるという。
災害時には「171」
頻発する災害を受けて生まれたのが「171」だ。被災者が避難先などの情報を録音し、家族らが再生して安否確認できる仕組みで、1995年の阪神大震災で電話がつながりにくくなり、混乱したことをきっかけに1998年から始まった。
171は1月15日~21日の「防災とボランティア週間」のほか、毎月1、15日などにお試し利用ができる。「その日」はいつ訪れるかわからない。備えあれば憂いなしだ。
(読売新聞 2022年1月10日掲載「減災」 社会部・市川了輔 ※肩書は掲載当時)
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