夜の津波警報!(前編)真っ暗闇な街でどこにどう避難する?

シナリオ2 懐中電灯手に暗闇のなか避難場所へ急ぐ…迷って叱られる

着替えを終えると、太郎は懐中電灯で足元を照らしながら、玄関に向かった。「気を付けてね」。花子が後に続く。

玄関には、飲料水や非常食などを詰めた非常用持ち出し袋を置いていた。揺れで飛ばされてはいたが、すぐに見つかった。それぞれが非常用持ち出し袋を背負うと、玄関から外に出た。空気が冷たい。

周囲は真っ暗だった。街路灯も信号機も消えている。「やっぱり停電だ」。避難場所は、自宅から15分の高台の小学校。懐中電灯があるとはいえ、暗闇の中を歩くのは時間がかかりそうだった。「寒いし、車で避難しようか」。太郎が口にした瞬間、花子が怒る。「渋滞に巻き込まれたら、大変よ。歩いて逃げましょう」。太郎は懐中電灯を握り直した。

防災無線のサイレンが町中に鳴り響く中、2人は高台へ向かって歩いた。道路が浮き上がっていたり、樹木が倒れたりしている箇所もあるが、回り道をする時間はない。

懐中電灯を手にした太郎は、倒れた樹木にもう一方の手をついて乗り越えようとするが、バランスを崩し、ひっくり返りそうになる。「危ない。懐中電灯、持っててあげるのに」と花子。太郎は肝を冷やした。

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