仏像参加の訓練も!国宝重文多数の奈良が注力する防火対策

写真説明:奈良・法隆寺で行われた「文化財防火デー」の訓練で一斉放水する消防団員ら(2017年1月)

「文化財防火デー」は国宝の法隆寺金堂が燃えた日

多種多様な文化財を抱える古都・奈良では、文化財の防災も欠かせない。近年、パリ・ノートルダム大聖堂や沖縄・首里城で大規模火災が起きるなど、防火対策は重要性を増している。

奈良県内では1949年1月26日、法隆寺金堂(国宝)から出火し、極彩色の仏教壁画が焼損。国がこの日を「文化財防火デー」とするなど、文化財の防火対策の歴史とともに歩んできた。

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国宝建造物の3割は奈良にある

とりわけ木造建造物は火の回りが早いため、国宝や重要文化財に指定された建物は大小問わず、消防法で消火器や自動火災報知機の設置を義務づけられている。県内には、国指定文化財の建造物が264件403棟、県指定文化財は120件215棟ある。うち国宝指定は64件71棟。奈良県だけで全国の国宝建造物の28.1%を占める計算だ。

首里城火災を機に対策強化

正殿などが全焼した2019年の首里城火災を受け、奈良県は、2020年7月に「文化財防火対策推進条例」を制定した。条例は、文化財が県民のかけがえのない財産であるとともに、一度失われると、原状回復が困難であると指摘。県や市町村、所有者、県民が協力して防災計画を策定し、防火設備の整備や改修を進めることなどを定めている。

「これまでの数多くの教訓から、『文化財は一度失われたら同じものは取り返せない』ということを胸に刻み、防火対策に取り組んでいる」と語るのは、奈良市消防局の中谷英之・文化財防災官。東大寺や興福寺などの世界遺産「古都奈良の文化財」を抱える市消防局では、文化財の防火に特化した訓練や対策を続ける。

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