日本書記に5世紀の地震記載!古都奈良にこれだけの災害史

写真説明:奈良・東大寺の大仏。東大寺には1096年の地震で被災した歴史が残る

文化財を多数抱える奈良の災害対策を検証する

近年、全国各地で大規模な風水害や土砂災害が相次ぐ。奈良県内では、2011年に県南部や和歌山、三重両県を襲った「紀伊水害」から2021年で10年となり、南海トラフ巨大地震への備えも急務だ。古都・奈良は、数多くの文化財の防災という特殊な事情も抱えている。県内の災害対策は今どうなっているのか、日頃どんな備えをしておけばいいのかを考えてみたい。

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2011年の紀伊水害を振り返る

奈良県などの記録によると、紀伊水害では2011年8月末~9月初め、紀伊半島に台風12号が襲来。9月3日に県内に最接近した。台風は大型で比較的ゆっくりした速度だったため、長時間にわたって広い範囲で記録的な大雨となった。

奈良、和歌山、三重の3県で特に被害が大きく、奈良県内では五條市や十津川村、天川村など、南部を中心に土砂崩れが約1800か所で発生。

奈良県内の被害の概要

写真説明:紀伊水害では土砂崩れなどで集落の孤立も相次いだ(2011年9月11日、奈良県十津川村で)

土砂によって川がせき止められる「土砂ダム」も多数でき、家屋の倒壊や浸水被害も相次いだ。

写真説明:紀伊水害による土砂ダムが残る奈良県十津川村長殿地区(2021年8月)

死者・行方不明者24人、住宅の全壊49戸、避難者は県全体で約1000人に上った。土砂ダム崩壊による洪水の危険があるため、避難を余儀なくされた人も多かった。

当時の避難指示・勧告は2014年12月まで続き、被災者の避難生活は実に3年以上に及んだ。死者・行方不明者が20人を超えた災害は、1959年の伊勢湾台風以来だった。

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