日本書記に5世紀の地震記載!古都奈良にこれだけの災害史

災害史をさかのぼると日本書記に行きつく

県が2014年に作成した資料「歴史から学ぶ 奈良の災害史」は、416年に河内、大和で発生した地震以降、県内で被害が出た記録の残る災害を紹介している。

M8超の地震が11世紀、14世紀、18世紀にも

◆奈良県内で被害のあった主な災害

1889年の十津川大水害では、吉野地方を襲った豪雨による山崩れが川をせき止め、その後決壊するなどして県内で249人が犠牲に。

1959年の伊勢湾台風も死者・行方不明者114人という大惨事となった。その後も、死者・行方不明者16人を出した1982年の大和川大水害などが取り上げられている。

国内の他地域と比べてみると

全国的に見て、奈良は自然災害が多い県と言えるのだろうか。

資料には、2000~2011年の都道府県別の自然災害による被害のまとめも。それによると、奈良県の死者・行方不明者は29人で全国で19番目に多く、住家の全壊49棟は28番目、床上浸水402棟は39番目となっている。

資料は「他の都道府県と比較しても、それほど大きな数字ではない」とするが、一方で「これはあくまでも近年で見れば、という話」と警鐘を鳴らす。

地震の発生状況

地震はどうだろうか。県内では中部を震源にマグニチュード6.7を記録し、3人が亡くなった1952年の吉野地震を最後に、犠牲者の出た地震は起きていない。

だが、その約100年前の1854年には、現在の三重県伊賀市付近を震源とし、全体で1000人以上、県内でも約300人が死亡したとされる伊賀上野地震が発生。それ以前にも、南海トラフを震源とする地震に何度も見舞われている。近い将来に想定される南海トラフ巨大地震では、県内で最大1300人が犠牲となり、建物の倒壊は同3万8000棟に上る、との予測もある。

地域の防災力はどうか

毎年のように起きている水害に、いつ、どこで発生するか分からない地震。県は2014年、住民を主体とした防災活動を進めることで、地域の防災力を高めることを目指し、「地域防災活動推進条例」を施行した。各地で大きな被害を出した災害を受け、地域防災計画も頻繁に見直しが行われている。

県防災統括室の担当者は「県内でも、災害はいつ起きてもおかしくない。近年、大災害がないからと安心するのではなく、日頃からハザードマップの確認や食料品の備蓄など、事前の備えに取り組んでほしい」と強調する。

1人1人の心構えや備えが、自らの命を守ることにつながる。

(読売新聞 2022年2月18日掲載 奈良支局五條通信部・萩原大輔)

<関連する記事はこちら>
西日本豪雨以前も真備には水害が繰り返しあった

無断転載禁止

この記事をシェアする

オススメ記事

新着記事

公式SNS