災害ボランティア考「恩のリレー」が厄災の社会を拓く

日本の「災害ボランティア」について

四半世紀前の阪神大震災は、延べ150万人ものボランティアが救援活動に参加し、「ボランティア元年」と称されました。

阪神大震災での受援経験

私は1995年1月17日未明、兵庫県西宮市の集合住宅で就寝中、激しい揺れにたたき起こされました。食器はすべて割れて床にはガラスの破片が散らばり、歩くこともできません。「天井が落ちてきたらどうなるのか」と死を意識しました。

写真説明:地震で倒壊した阪神高速3号神戸線(1995年1月、神戸市で)

数日後、街のあちらこちらで若いボランティアが救援活動をする姿に、「ありがたいな」と胸を打たれました。子どものおむつやカセットコンロなども頂きました。

阪神大震災以降

災害時のボランティアは一過性のブームに終わらず、1997年に発生した福井沖の重油流出事故や、中越地震などでも活躍し、日本社会に定着しました。

写真説明:中越地震のときのボランティア活動の様子(2004年10月、新潟県長岡市で)

東日本大震災でも150万人を超える人が被災地に赴きました。ただし、災害ボランティアのありようには違和感も持ちます。その本来の姿は臨機応変の支援です。被災者に寄り添って支援ニーズをくみとり、目の前の問題を解決するのです。

望ましい支援とは

実際には、1998年の南東北・北関東水害のころから、全国各地から集うボランティアを受け付け、必要とされる場所に割り当てる災害ボランティアセンターが組織されるようになりました。運営主体は地元自治体や社会福祉協議会、それに災害NPOです。泥かきやがれきの撤去などの人手のかかる作業を効率的にこなす点ではメリットがあるのかもしれません。災害ボランティアは初めてという人も参加しやすいでしょう。

ただし、センターが被災者の支援ニーズをきめ細かく吸い上げられるわけではありません。「犬の散歩をしてほしい」「ゴミ出しを手伝ってほしい」とか、声に出しにくいニーズもあります。目の前の被災者にそっと関わる。そんなボランティアも必要だと思います。

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