災害時の救助犬・補助犬・セラピードッグの活躍まとめました

避難にも避難後の暮らしにも不可欠…補助犬

盲導犬と聴導犬、介助犬を総称する「補助犬」は、身体障害者にとって不可欠な存在だ。補助犬の「地位」を認め、2021年で施行20年となる身体障害者補助犬法は、不特定多数の人が利用する施設に、補助犬の同伴受け入れを義務づけている。災害時の避難所も同様だが、周囲の理解が十分に広がっているとは、まだ言えない。

写真説明:目覚まし時計の音に反応し、人を起こす聴導犬(2013年12月9日、横浜市中区で)

補助犬同伴の訓練実施

日頃からの取り組みが大切だとして、横浜市では2018年に旭消防署、2019年に磯子区役所で、補助犬同伴の障害者の緊急車両乗り入れ訓練や、避難所受け入れ訓練を実施した。川崎市も避難所や市民に対し、補助犬同伴への理解を呼びかけている。

日本補助犬協会(横浜市)の朴善子代表理事は「災害時の不安を抱えている障害者は多い。訓練などの動きがすべての自治体に広がり、補助犬がいて当たり前だと、多くの人に認知してもらえれば」と話した。

被災者に寄り添う…セラピードッグ

写真説明:福島県で被災者とふれ合うセラピードッグ(国際セラピードッグ協会提供)

病院や福祉施設などで働くセラピードッグは、被災者に寄り添う活動もしている。国際セラピードッグ協会(東京都)は東日本大震災でも、被災者の心の傷を治すために避難所を訪問したり、飼い主を失った犬を保護したりしてきた。

大木トオル代表は、原発事故が起きた福島県で、取り残され、やせ細って野生化した犬たちを見た。体に放射能測定器を当てると、針はメーターを振り切った。「この子たちには何の罪もないのに……」。大半は殺処分される運命だったが、可能な限り保護しようと決めたという。

福島の被災犬たちのその後

協会ではこれまでに300頭以上の犬を保護し、訓練を経て、セラピードッグとして生まれ変わらせた。犬たちは被災地に“里帰り”して、被災者とふれ合う活動もしている。海を見て震え出す犬もいたが、福島弁で話しかけられると、喜んで被災者の顔をなめたという。大木さんは「被災の痛みを知るからこそ、同じ境遇の人たちの力になりたいのでしょう」と、犬たちを優しくなでた。

(読売新聞 2022年3月23日掲載 横浜支局・川崎大輝)

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災害時にペットの命を守ることで人の命を守りたい

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