豪雨時の運転は「冠水」注意!(後編)事前対策と脱出方法

浸水した車内からの脱出方法

ドアか窓が開く場合

万が一に備え、浸水した車内からの脱出方法を確認しておこう。まずドアが開くか確認し、可能ならドアを開けて車外へ出る。日本防災士会の甘中繁雄さんは「水圧でドアが開けにくくなっている場合、座席に座った姿勢では腕に力が入りにくい。両足で蹴るのも有効」と助言する。窓だけ開く場合は、窓からの脱出に切り替える。その際、「車の屋根を手でつかんで体を引き上げるように外へ出ます」。

ドアも窓も開かない場合

ドアも窓も開かないことを想定し、車内に備えておきたいのが、自動車用品店などで販売されている脱出用ハンマーだ。突起が飛び出てガラスを割るタイプや、シートベルトを切断するカッターの機能を備えた製品もある。性能を保証するJISマークなどが表示された製品を選びたい。

ハンマーで割るのはどこか

ハンマーで割れやすいのは、側面のサイドガラスや後面のリアガラス。前面のフロントガラスは飛び石などでのガラス飛散防止のため、合わせガラスを使うことが一般的で、ハンマーでは割れにくい。サイドガラスなどにも合わせガラスが使われた車種が一部あり、よく確認したい。

◆脱出用ハンマー使用時の注意点

①サイドガラス ②リアガラス

③フロントガラス

(国土交通省の資料を基に作成。車内の画像は国土交通省提供)

ハンマーの置き場所

ハンマーの置き場所は、運転席から手の届く範囲が望ましい。運転席側のドアポケットなどがお勧めという。

浸水後の自動車の扱い

浸水したり、水没したりした自動車は、すぐにエンジンをかけない方が良い。電気系統のショートで車両火災につながる恐れがあるからだ。JAFなどのロードサービスを利用し、販売店や整備工場へ運んでもらう。

自動車保険選びも大切だ。東京海上日動火災保険の松浦由佳さんは「車両保険は、台風や洪水による浸水被害時も修理費などの支払いに対応するケースが一般的。車両の搬送費用が補償される場合もあり、契約内容をよく確認してほしい」と勧める。修理期間中のレンタカー代をカバーする保険商品もあるという。

(読売新聞 2022年5月12日掲載 「防災ニッポン 大雨時の運転」 生活部・大郷秀爾)

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