風水害・共助 (4)マンション 交流も備え(連載)

マンションでも風水害などに備えるには助け合いが必要だ。だが、国土交通省の調査では2割を超える管理組合が大規模災害への対策を取っていない(=上グラフ参照)。共助の充実が求められる。

低層階住民 上階に避難の可能性も

「浸水被害の可能性が低い中層階以上に住む場合などは、居室にとどまる『在宅避難』が基本」。一般社団法人・マンションライフ継続支援協会(東京)の副理事長、安部俊一さんは話す。避難所は、損壊などで自宅に住めなくなった人たちが優先される上、新型コロナウイルス対策で「3密」を避けるため、受け入れが限られる可能性がある。

ただ、停電が起きれば、エレベーターや給水ポンプが止まり、在宅避難の生活に支障が出る恐れがある。実際、昨年10月の台風19号では、川崎市の47階建てタワーマンションの地下が浸水。電気設備が故障して停電し、断水が10日ほど続いた。

安部さんはまず、各家庭での1週間分の飲料水や非常食の備蓄を呼びかける。携帯トイレも準備しておきたい。給水ポンプが止まるとトイレに水が流れなくなるからだ。地震の際も、排水管が破損して汚水が漏れていないか確認されるまで、トイレは使えない。その上で、エレベーターが止まって上層階へ物資を運べなくなることを念頭に、管理組合などで数階おきに備蓄するのが望ましいとする。

水害時、低層階では浸水の危険が迫り、上の階へ「垂直避難」せざるを得ないこともあるだろう。こうした住民の受け入れについて、人数や日数も含め、管理組合などでアンケートを取っておくとよい。

独居の高齢者や障害者ら要配慮者への配慮も必要だ。居室内の様子は外部からわかりづらく、安否確認が難しい。行政情報やボランティアが集まる避難所に比べ、支援も受けにくい。

安部さんは「近所付き合いが苦手でマンションを選ぶ人もいるが、戸建て以上に住民同士のコミュニケーションを大切にしてほしい」と助言する。

◆近隣住民の避難場所にも

マンションは災害時、近隣住民の一時避難場所としての役割も期待される。

大阪市は河川の氾濫や浸水に備え、マンションや公共施設約2900棟を「水害時避難ビル」「津波避難ビル」に指定。緊急時は共用部などで受け入れてもらう。

東京都荒川区の「トキアス」(620戸)は帰宅困難者を受け入れる協定を区と締結。約100人を収容して、備蓄食料を提供したりトイレを貸したりすることを想定する。

ただ、マンションの住民間で開放の合意を得るのが難しく、難航する例もある。

◆マンション防災3か条
▽浸水がなければ在宅避難
▽数階おきに物資を備蓄
▽日頃から住民同士の交流を

(読売新聞  2020年7月18日掲載 「風水害・共助」おわり 生活部・崎長敬志、及川昭夫、福島憲佑、梶彩夏、生活教育部・児玉圭太が担当しました)

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