シナリオ 3 あふれる帰宅困難者…都心
都心の職場に残っていた花子は、太郎の無事を確認できずにいた。スマートフォンはつながらず、メールにも返信がなかった。「安否の確認方法や避難先を話し合っておけばよかった」と悔やんだ。
公共交通機関が全面的にまひしたため、街は帰宅困難者であふれ、歩道にはラッシュ時のように人がひしめき合っていた。会社からは職場で待機するよう指示があった。
窓から外を眺めると、消防車や救急車、パトカーの赤色灯が、停電した街を照らしていた。道路には古い建物や電柱が倒れ緊急車両が通れない場所も少なくなかった。
夫は無事なのか、再会できるのか――。不安は募るばかりだった。
→帰宅困難者
公共交通機関が止まり、帰宅困難者が最大約800万人に上ると想定される。無理に徒歩で帰宅しようとすると消火や救助活動の障害になる。火災に巻き込まれる恐れも。3日間程度は会社などにとどまることを考え、自らも食料や飲料水などをロッカーなどに備蓄しておく。外出先で被災した場合は、自治体のSNSなどで一時滞在施設の情報が得られる。
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