地震・在宅避難(2)情報収集 日頃から(連載)

写真説明:北海道地震で開設された「むかわさいがいFM」の放送風景(提供写真)

大規模停電が発生した2018年の北海道地震。一部地域で停電が2日ほど続いた小樽市では、コミュニティーFM「FMおたる」が、小中学校の休校や、利用可能な現金自動預け払い機(ATM)の場所などの情報を発信し、住民の暮らしを支えた。

地域FMや自治体SNS活用

情報はFM局員が集めたほか、住民からも寄せられた。地震当日に停電が解消された市内の宣誠(せんじょう)寺の住職、峰尾泉栄さんは、寺を無料の充電場所として開放することをFM局に知らせ、放送してもらった。「ラジオを聞き、近所以外からも人が来た。災害時、身近な情報が求められることを実感した」と振り返る。

大規模地震で停電や断水が起きる中、在宅避難を続けるには、復旧の見通しなどの情報が欠かせない。停電などでテレビが見られない場合、頼りになるのが携帯ラジオだ。手回し充電式であれば、電池切れの心配もない。

地域にコミュニティーFMがあれば、給水場所などの身近な情報も得やすい。日本コミュニティ放送協会(東京)では「災害時も、役立つ生活情報を発信するよう努めている」とする。

自治体が総務省の特例措置で、FMの「臨時災害放送局」を開設することもある。北海道地震では、むかわ町の「むかわさいがいFM」がスーパーの営業状況などを伝えた。

防災士の高橋聖子さんは、「通信状況が悪くなければ、市区町村のSNSも情報入手に役立ちます」と勧める。16年の熊本地震では、菊池市がツイッターを使って給水の場所や時間を発信した。

(熊本地震で菊池市が情報発信に使ったツイッターの画面)

スマホのアプリを開発した自治体もある。福岡市の防災アプリ「ツナガル+(プラス)」では、支援物資などの情報を配信。アプリ内でグループを作ってサークル活動の情報交換をするなど、普段から使うこともできる。

高橋さんは「いざという時に慌てないよう、自治体のSNSは日頃から利用しておいた方がいい」と助言する。

大規模災害時には、携帯電話会社などが「00000JAPAN(ファイブゼロジャパン)」という名称の公衆無線LAN「Wi-Fi」を無料で開放する。契約している携帯会社以外のWi-Fiスポットでも、被害がなければ接続できる。自宅の通信状況が悪い場合、選択肢に入れたい。事前に各社のサイトで、自宅周辺のスポットを調べておくといい。ただ、携帯会社などでつくる無線LANビジネス推進連絡会の江副浩さんは「緊急時の利便性を優先し、通信が暗号化されていないため、個人情報の入力などは避けてほしい」と話す。

避難所なども情報収集の場となる。北海道地震で震度6強を記録した安平町では、避難所や町の庁舎に、入浴施設の営業や路線バスの運行の情報を掲示した。

災害時には様々な情報が飛び交うため、注意も必要だ。安平町の男性(50)は「ガソリンスタンドが営業を再開したと人づてに聞いたが、給油できるのは、災害復旧に当たる車だけだった」と振り返る。

高橋さんは「災害時はうわさや、チェーンメールによるデマに惑わされがち。発信源が自治体など、確実な情報以外をむやみに信頼しないことが大事」と指摘する。

◆情報収集3か条
▽ラジオやSNSを利用
▽避難所などにも通う
▽発信源が確実なものを

(読売新聞 2020年9月17日掲載)

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