風水害 備える(2)食料1週間分を 「回転備蓄」で(連載)

写真説明:備蓄方法もさまざま。防災アドバイザー・高荷智也さんは「宅内仕送り箱」というやり方を実践・提案している(高荷さん提供)

災害に備え、1週間分以上の食料や飲料水を備蓄する人は、4分の1程度――。住友生命保険が昨年12月、全国の20~60代の1000人に実施したインターネット調査で、こんな結果が出た。

大規模な風水害で住宅が孤立した場合などに備え、国の防災基本計画は1週間分の備蓄を推奨している。だが、進んでいないのが実情だ。

「備蓄というと、長期保存できる専用食品を思い浮かべがち。買いそろえるのが大変で、進まない原因になっている」。防災備蓄収納プランナー協会(東京)の代表理事、長柴美恵さんは指摘する。勧めるのが、ローリングストック(回転備蓄)だ。

普段から口にし、保存が利く食料を多めに買い、賞味期限が近いものから食べて、その分を買い足すことで備蓄を保つ。食べ慣れているため、災害時も喉を通りやすい。

農水省のストックガイドを見ながら

回転備蓄でそろえるべき食料は何か。参考になるのが、農林水産省がホームページで公開する「災害時に備えた食品ストックガイド」。水(1人1日3リットル)やレトルトご飯、乾麺、缶詰、レトルト食品、菓子類などを挙げる。停電に備えたカセットコンロも紹介。高齢者や乳幼児を考慮したガイドもある。

水はペットボトルを備蓄するのが一般的だが、食品類は様々に工夫できる。

負担感の少ない方法で始めたい場合、文書保管用の縦長のファイルボックスを使う回転備蓄の方法がある。1箱にレトルトご飯やレトルト食品、缶詰などを詰めて1日分とし、7箱分を用意。定期的に1箱分を食べ、補充することで1週間分を保てる。収納も比較的しやすい。

長柴さんは「災害の混乱時、食べるものが決まっていると安心できます」と話す。

未来の自分の贈り物として

備蓄そのものを楽しめるように、防災アドバイザーの高荷智也さんが実践し、提案するのが、「宅内仕送り箱」と名付けた方法だ。保管場所を広く取れる家庭向きだ。

段ボール箱を10個用意。賞味期限が1年以上の食品を入れる。家族の好物のパスタソースやレトルト食品、シリアル、お菓子類などだ。毎月1箱分を食べては補充する。

宅内仕送り箱という名は、1~10か月後の自分や家族に食べ物を仕送りするイメージから。「未来の自分への贈り物として、高級なレトルトのパスタソースなどを入れると楽しく続けやすい」。10箱分あれば、結果として、いつ災害が起きようと備えになる。

高荷さんは、「最初から10個そろえる必要はない。徐々に増やすなど、無理のないところから始めてください」と助言する。

◆食料備蓄3か条

▽できれば1週間分
▽日常食で「食べては購入」を繰り返す
▽高齢者や乳幼児なども考慮

◆専用品の味・機能 多様化

備蓄専用の食品も、技術革新で味わいや機能が進化している。

杉田エース(東京)の「イザメシ」シリーズは、味の良さをアピールする。ドライカレー、卵がゆなどの主食のほか、ハンバーグやブリ大根などのおかずとなるレトルト食品も豊富だ。賞味期限は3年か5年。一般的なレトルト食品を思わせるパッケージがおしゃれだ。1個500円前後。

ワンテーブル(宮城)の防災ゼリーは、ビタミン類や食物繊維が取れ、水がなくてものみ込みやすい。東日本大震災の経験を基に開発。賞味期限は約5年。「主食ばかりの備蓄になりがちだが、栄養も考えて準備してほしい」(同社)という。

(読売新聞 2020年4月15日掲載)

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