安全・快適なまちに生まれ変わった UR×陸前高田市 震災復興の歩み

東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市で、UR都市機構(以下、UR)は復興に向けて、災害に強く、魅力あふれるまちづくりを支援してきました。今年度内に市民の方々への、かさ上げした土地の引き渡し手続きが全て完了します。まちの復興で節目を迎えた現地を紹介します。

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渡辺 陸前高田に来て、「この高さまで津波が来たのです」という話を伺うと、改めて衝撃を覚えました。ここに至るまでは想像を絶する苦難があったと思いますが、URはどう関わってきたのですか。

大田 震災直後から被災状況の調査に入り、1年後の2012年3月に、陸前高田市とまちづくり計画の策定への協力などに関する覚書を交換しました。さらに、土地区画整理事業を受託し、その年のうちには工事を始めました。

永山 最初はがれきが多く残り、市内に住む場所もありませんでしたが、UR職員の方は「とりあえず行かなければ」という思いで来てくれたと聞いています。

渡辺 使命感からの初動だったのですね。ただ、URといえば、賃貸住宅の管理・運営や都市開発の組織ですよね。


大きな遊具が揃う「まちなか広場」は家族連れに人気

大田 いわゆる「ニュータウン」の開発など、URは大規模な土地の造成工事の経験が豊富です。陸前高田でもそうした部門出身でノウハウを持つ職員の多くが復興に携わりました。

永山 市にそうしたノウハウはなく、新しいまちづくりは、URなしでは不可能でした。


高台から市街地を見下ろす

店舗、図書館、公園 中心部にぎゅっと集約

渡辺 まちの再建はどのような考え方で臨んだのですか。

永山 津波による浸水は13平方kmにも及びました。震災を教訓に「災害に強い安全なまち」を掲げつつ、「快適で魅力のあるまち」「市民の暮らしが安定したまち」などを基本方向として定めました。

大田 岩手県が二つの巨大な防潮堤を築く一方、まちは最大8~10mの盛り土でかさ上げし、道幅を確保した避難道をわかりやすく配置しました。にぎわいを生むように、中心市街地はコンパクトにまとめ、大型店舗と震災前からある店舗、これから商売を始める方の店舗を隣り合ったエリアにし、図書館や公園も設けました。住民の方の声を聞き、祭りの山車が通れるように道路の舗装材料を工夫した箇所もあります。


道の駅高田松原には新鮮な魚介類をはじめ、地元産品がずらり

渡辺 特に苦労した点は。

永山 二つの地区の土地区画整理事業は計約3平方km、地権者は2100人を上回ります。一人一人にまちの再建への思いがあり、丁寧にくみ取る必要がありました。市職員の数は限られているので、URや協力会社にお手伝いいただき、住民への説明に回りました。

大田 同規模の事業だと通常20年程度かかっていたのですが、山から大量の土砂を運ぶためベルトコンベアを導入するなどして、工期を大幅に短縮しました。

渡辺 市と住民、URが一丸となったまちづくりだったのですね。


大型スーパーや専門店、図書館からなる複合施設「アバッセたかた」

命を学び、食と自然を楽しむ場に

渡辺 陸前高田はどのようなまちになりましたか。

永山 市全域で防災・減災を学ぶことができます。高田松原津波復興祈念公園には震災遺構が保存され、東日本大震災津波伝承館で津波の歴史や教訓などを展示しています。まちを一望する高台の公園からは、震災でどのように被害が生じ、どのように復興を進めたのかが分かります。一方、発酵食品や農業などをテーマにした民間施設もオープンしました。生きていくために必要なものという観点から、陸前高田は命について学ぶ場にしていきたいと考えています。


国営追悼・祈念施設のある高田松原津波復興祈念公園

大田 陸前高田はもともと水産業や農業などにものすごい魅力があります。中心市街地にこうした魅力をさらに引き出す施設を増やすための取り組みが大事になると思います。

渡辺 豊かな自然に恵まれたこの地域で、住民の方々が気概を持ってどのようなまちづくりをしてきているかは、世界から注目されてしかるべき学びの宝庫です。私も今後を楽しみにしています。


陸前高田市役所で

地域代表インタビュー①まちはみんなの手でつくる 楽しい企画を次々と


陸前高田ほんまる 種坂奈保子さん

新しいまちを市民の皆さんが「自分のまち」と感じられるようにするための活動を進めています。建築家の伊東豊雄さんが建物を設計した交流施設「ほんまるの家」で、料理教室や映画上映会を開いたり、子どもたちが気軽に立ち寄れるように駄菓子を販売したりしています。新しく店を始める方の支援や、マップや店紹介の小冊子の作成なども手がけています。

まちづくりは、1人や1社だけでなく、行政だけがやるものでもありません。様々な人と膝を突き合わせてやってきましたが、URの方々にも仲間に加わっていただきました。ハードの整備だけでなく、イベントに積極的に加わっていただき、一緒にまちを盛り上げていこうという気持ちを出してくれたのがうれしかったです。


交流施設「ほんまるの家」

地域代表インタビュー➁震災のことも地域も魅力もたくさん感じてもらいたい


陸前高田市観光物産協会 大林まい子さん

高田松原津波復興祈念公園で2021年6月に始まった防潮堤や「奇跡の一本松」、震災遺構となった旧気仙中学校などを見学して回るパークガイドで、ガイド役を務めています。修学旅行などで訪れるにぎやかな子どもたちも、旧気仙中に入ると口数が少なくなり、熱心に内部を見ています。多くのことを感じてもらえていると思います。

地域の自然や歴史、文化にもっと注目してもらいたいとの思いから、今はエコツーリズムに力を入れています。道端の草花、海の色、空の高さ、田んぼの様子などから、季節の移り変わりを実感できることが大きな魅力です。陸前高田と長くつながり、「そろそろまた行きたくなったな」と感じるような方を増やしていきたいと考えています。

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